中国の大手不動産会社「恒大集団」がいろいろと大変だと聞いて思ったこと
皆さん、こんにちは。中小企業診断士の重谷 亮です。
台風による大雨が心配です。皆さま十分にご注意ください。
中国国内の不動産を中心とする巨大コングロマリットである「恒大集団」の経営悪化が伝えられています。最近、資金繰りが悪化してかなりやばいようです。
恒大集団は中国経済の成長と中国本土での開発による加熱した不動産投機を背景とする巨額の借り入れにより大きく成長してきました。
規制強化により以前のように借り入れによる資金調達が難しくなったこと。
巨額の融資への返済に見合う売り上げを確保できていないこと。
多角化としてミネラルウォーター事業やEV(電動自動車)事業など、手を広げすぎたこと。
などが経営危機に陥った原因のようです。
2020年ごろにはその傾向が表面化しており、だぶついた不動産商品を全て3割引で販売するなどの荒っぽいことをしています。
新聞では、ここのところ毎日のように恒大集団の経営危機が伝えられています。
取引銀行に資金口座を凍結されたり、株価と社債が急落したり崖っぷちのようです。
9月20日期日の利払いが行えないとの情報も出ています。恒大集団の負債は6月30日時点で、日本円にして約9兆7千億円うち4兆円ほどが流動負債だそうです。
政府系メディアの環球時報の編集長から「政府に頼らず自力で立て直せ」と突き放すような発言も出ています。
こりゃ大変なことになりそうです。
恒大集団の債務問題が中国国内の銀行による不動産関連融資を悪化させ、中国の不動産業全体の問題になっています。似たような財務状況のところも多いでしょうから、今月20日以降にはいろいろと大変なことになるかもしれません。
これらの影響で香港市場でも9月16日に10カ月ぶりの安値をつけました。
不動産以外でも恒大集団のように資金繰りに問題のある企業が相次いでいるとの報道があります。恒大集団の債務問題が無事に落としどころを見つけられたとしても、信用不安は簡単には収まらないでしょう。
中国経済の動向は、日本をはじめ世界経済にも大きな影響を与えますので、先行きは注視した方が良さそうですね。
政治的にも第二次文革みたいな雰囲気が出てきてウォッチしがいがありそうです。
話は変わりますが、恒大集団といえばサッカーチーム広州恒大(現、広州FC)の親会社です。
広州FCも中国のサッカーもひところの勢いがなくなってきているようですが、以前はACL(アジアチャンピオンズリーグ)を席巻しました。
時は2012年と2013年。
当時の広州恒大は莫大な資金によりブラジルやヨーロッパからコンカ、ムリキ、バリオス、エウケソンなどの一流選手を集めていました。
そして当時の監督はリッピ。
あのマルチェロ・リッピっすよ!
ユベントスでスクデット5回、UEFAチャンピオンズリーグ制覇、W杯優勝監督でもあるリッピが対戦相手の中国のクラブの監督とかなんだよそれ。サカつくかよ!
超一流の名将のもとに一流選手を集めたずば抜けたチームをつくり、その迫力は恐ろしさを感じるほどでした。
特にACLに優勝した2013年は凄かった。
私の応援したチームは準決勝でこてんぱんにやられました。サポーターであった私の魂を刈り取るような凄まじい強さでした。あの時のムリキとコンカとエウケソンをどうやったら止められるというのでしょうか。
当分の間、アジアのサッカー界は中国資本が席巻するだろうなとも思いました。
でもそうでもなかったようですね。
クラブレベルでは資金力で一流選手を集めて旋風を巻き起こしましたが、一過性のもので結局大したものは根付かなかったという印象です。
高額の選手を買い集めるよりも、日本のように裾野を広げて育成からしっかりやる方が、着実に成果が出るようです。
当時はJリーグチームの資金力のなさを嘆きましたが、それは短絡的な視点だったようです。
このことは企業の成長や人材育成の上でも参考になりそうです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
2021.9.18