2022年も下りエスカレーターを逆走
元日から3日目の昼下がり。
家族で散歩に行くため、靴下を履いている私の足裏を、息子(3歳)が指さし聞いてきた。
「この白いのはなに?」
「角質だよ」私がそう答えると、息子はさらに聞いてくる。
「ボクないけど、なんでトットにはあるの?」
「オッサンだからね・・・」
し、しまった。
しかし、時すでに遅し。
「私はオッサンではない!」自分にそう言い聞かせるため、口にしないようにしていたオッサンというワード。
とっさに発してしまった。
ガサガサでゴツゴツした私の足裏は、まるで干からびたわらじ。
一方、すべすべでぷにゅぷにゅした息子の足裏は、うぶなマシュマロようだ。
若さという上りエスカレーターに乗るだけで良い息子を、うらやましく思うこともある。
適度な運動と睡眠、食事にも気を付け、健康な体づくりに日々励んでいるものの、あの足裏にもどることは今生ない。
わかっている。
私はオッサンだということを。
だがそれでも、今日も、2022年も私は、老いという下りエスカレーターを逆走する。
なぜなら、カッコいい男として息子の瞳に映りたいからだ。
そんな思いを秘めながら、靴に靴べらをカッコよく差し入れ玄関を出た。