『学ぶ力』より

私は生まれ落ちた時から、一番いい死に方をすることを探しているのだと考えているので、自分が死ぬ間際になって、「ああ、これでよかった」と大往生できる生き方は何だろうと探すのが学びだと思います。だから、あらゆる学びはある意味で生涯学習だと思います。それはキャリアとしてどういう職業に就いたらいいかということではない。全部終わって死ぬ間際になったら、どこそこ大学の名誉教授とか、長者番付何位とか、そんな話を耳元でささやかれても何もおもしろくない（笑）それよりもこういう人と出会ってよかった、こういうことがわかってよかった、生きていてよかったなと思って死にたい。そのための準備を着々としているのが学びだと思えば、あらゆる学びは生涯学習だ。まさに生涯の終わりのための学びだと思っています。

『学ぶ力』　河合隼雄　他　P.87より抜粋
R6.8.1