整列純白歯(大)
芸能人が歯列矯正したり、歯のホワイトニングをしているのはよくあることだと思うけれど、たまに滅茶苦茶歯並びが良くて、それでいて滅茶苦茶歯が白い芸能人を見ると、綺麗より恐怖が勝ってしまう。
まあ、私だけのためにそういう努力をしている訳ではないだろうから、それは別にいいんだけど、本来、歯列ってあそこまで整っているものではない(多少なりとも崩れている方が自然な気がする)し、エナメル質もあそこまで純白ではない(新車みたいな色まで白くするのは如何なものか)と思う。
人間ではあるのかも知れないけれど、ヒトという感じがしない。機械寄りと言うか、何と言うか。
あと、もうその感じの人の前歯が大きいと手が付けられない。
歯のサイズも人によって違うはずだけれど、いやに整列され、それでいて不気味なほど白い歯がベンティサイズだった場合、いよいよそれは人工物という気がしてならない。
人工物を口腔内に据え付けたヒト、それは最早、サイバネティックオーガニズムなのではなかろうか。
眼には眼を、歯には歯を、とは言うものの、自分をあの状態に持ってゆく勇気は無い。
それはつまり、「歯人」に対する抵抗手段(原義は報復を意味するが)を持つことができない、ということに他ならない。
精緻で真っ白な巨歯は、充分に畏怖の対象たりうるのだ。
AIが大手を振って世を闊歩する時代がもうすぐそこまで迫っている中、私はそんなことを考えているのであった。
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