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ずっと泥酔中

飲みなおし

留年が決まって1年が経った。
ショックで人間関係をブチブチ切って、バイトも飛びまくった。めちゃくちゃ痩せていたので多分人生一番追い詰められてたと思う。
ラーメン屋さんのバイトを1年続けて先輩と関係も悪くはなかった。
ダメな人間だということを向こう側が理解してくれていたので今までの職場とは違い、怒られることも少なく、店長や他の人も寛容だった。半分諦められていた部分もある。食券制だったので食券を無くしたり、気付かずaイヤホンをつけたまま働いていたり、漬けてあった味玉をキッチンで30個ほどぶちまけた事がある。味玉をぶちまけたその日は仕事ができなすぎてもう辞めてやろうかと思ったが、あまりに店長が雰囲気を壊さないようにカバーしてくれたので、良心のようなもので辞められなかった。

酒で波乗り

同じ親会社の隣の店舗の先輩とも仲良くなった。少し八方美人が過ぎるような美人の1つ上の女性の先輩だ。
店舗の合同の飲み会で、20数人規模の飲み会があり、馴染めな過ぎた自分は席の端のほうで梅酒ロックをガブガブ飲んでいた。とりあえず酔わないとやっていけない飲み会だった。場違いだ。そこで端にいると声をかけてくれたのがその先輩だった。シチュエーションもあってか会話している時にキラキラしたオーラが見えた気がする。
基本的に子どもっぽすぎる部分があるので年上の先輩に好かれることはないが、大学終わりに迎えに来てくれたり、飲みに誘えば一緒に行ってくれるような優しい先輩だった。先輩が就活に忙しいこともあってか、ストレス発散ついでに用事のない日は基本的に一緒にいた。酔って間違い電話をしたフリもした。今の自分から考えると鳥肌が立つ。恋愛感情のようなものは少しはあったような気はする。
育ちの良さが節々から垣間見えていたので余所行きの顔をしながら遊んだ。車はレクサス、親は社長、これ以上にない金持ちの伏線が進撃の巨人より張り巡らされていた。そんな女性と二人でおデートだというのに、二日酔いで行った自分に愚か以上の言葉をプレゼントしたい。

酩酊

正直な話こんな前置きだが、非日常的で刺激があり楽しかった。
恋愛の場数を踏んでなさすぎるので駆け引きのようなものはフル無視していた。単純な人間なので連絡が来ればうれしいので、来れば秒で返すし、SNSでいいねをされると舞い上がっていた。本当にバカで単純だと思う。
ただ、あまり気の良くない出来事があっても、嫌な顔を一つしないことが不思議で仕方がなかった。就職活動が楽しいと思っている人間はこの世に存在しないと思っているし、クレームを自分が言われると正直いい気はしない。なのにも関わらず先輩はずっと笑顔だった。職場ですれ違うと死んだ魚のような顔をした自分に、いつも笑顔で返してくれていた。
この人に負の感情はないのか?そう思っていた。
最初は先輩のダイエットに付き合うという理由で二人で大阪城まで散歩をしていた。特別予定がない日は21:00に集まって最後は商店街の端で煙草を二人で吸って帰った。たまに魔が差して近くのラーメン屋さんに入ってしまうこともあった。
その後も飲みに行ったり、買い物に出かけたりした。
飲みに行くと
「就職楽しみやわ~」
逆に心配だった。酒でおかしくなったのかと思っていたが、飲む度言っていたので本心なんだと思った。怖い。
いつも行くチェーン店の居酒屋でいつも頼むチャンジャをつつきながら酔って自然と口から言葉が出た。
「就職しても、飲み行きましょうよ」
就職して一緒に飲む頻度が減ってしまうと思って、かなり寂しかったが、現実は変わらないので誘うだけ誘っておいた。
ひどいときは3時くらいまで二人で飲んだ。この時期くらいから2件目に行くことを覚えた。地元で飲むことが多かったので、変にあざとい真似はできなかった。するつもりもない。

二日酔い

そして自分の留年が決まった。
自分の自己肯定感の低さから結局告白もなにもしなかった。情けなさ過ぎて泣きたかった。ひとりで死ぬほど飲んだ。
大阪城に行ってライトアップされた城を見ながら酒を飲んで、0:00ゴロの帰るを繰り返した。
酔って音楽を聴いている瞬間が一番幸せだ。
鏡月1瓶を一日で飲み干して、暗くした部屋でYouTubeで再生されている動画だけが光っていた。
ずっと覚悟していたことだったが、受け止める器以上の量の水が流れ込んできた。自分から連絡するのもやめて疎遠になった。バイトも飛んで何もかもの連絡を返すのもやめた。一番仲が良かった友達もマルチ商法にハマっていた。
すべてがぐちゃぐちゃになった。酒の空き瓶を眺めながらぼーっとした。
「何がどうなってこうなった?」
一生自分に問いかけ続けた。
衣類などで乱れていた部屋で携帯も見ず寝転がって、体が沈みそうだった。疲労感でどうしようもなかった自分はそのまま大学も行かず引きこもっていた。
そこから約1年ほどたった今、光を求めてインターネットを彷徨うゾンビになった。友達の期待が少し重いと感じる時もあるが自分なりにあがいてみようと思った。













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