東海道新幹線の代替交通(東京~大阪)

ついに、東海道新幹線の代替三部作の最終編、東京~大阪間である。流動としては当然これが最大となると予測。代替手段も当然多彩である。

代替手段を考える。

簡単に考えられる代替手段は以下の通り。
・東海道本線ルート
・北陸新幹線+サンダーバードルート
・高速バスルート
・航空便ルート
以上4パターンになる。これに通常の新幹線を加え5ルートとする。

東海道本線(在来線)ルート

東京~名古屋、名古屋~大阪でそれぞれ考えたが、東京~名古屋のボトルネックは浜松~豊橋間で1日43本、名古屋~大阪間のボトルネックが米原~野洲間で1日26本。よって、東京~大阪でみた場合もボトルネックは米原~野洲間となる。
朝いちばんの乗り継ぎは東京を5時20分に出発し、三島、静岡、浜松、大垣、米原で乗り換え大阪14時13分着のパターンで8時間57分かかる。
最終乗り継ぎは東京14時37分発で、熱海、静岡、浜松、豊橋、米原で乗り換え大阪0時03分着のパターンで9時間26分である。最終乗り継ぎは米原で1分乗り換えがありギリギリだが、間に合うのではなかろうか。乗り継ぎパターンは15種類しかなく、座席数も203席しかない。よって輸送力は203×15=3045人/日となる。立席もあるものの相当きつい乗り継ぎになる。立席を認めると約3倍になり8925人/日になる。

北陸新幹線+サンダーバード

北陸新幹線+サンダーバードだが、サンダーバードは基本的に富山~敦賀区間運転のつるぎに接続しているケースが多く、敦賀での待ち時間が長いか、富山か金沢での乗り換え時間が長い傾向にある。
朝一番の乗り継ぎは、東京6時16分発のかがやき501号に乗り、敦賀でサンダーバード14号に乗り継ぐパターンだが、敦賀での待ち時間が30分発生する。それでも大阪11時36分なので、5時間20分で到着する。東海道本線ルートに比べるとかなり短い所要時間になる。
ちなみに最終乗り継ぎは東京18時24分のかがやき515号で敦賀からサンダーバード50号乗り継ぎで大阪着23時29分となる。所要時間は5時間05分。
敦賀を発車するサンダーバードはすべてが東京発の新幹線から接続するようにはできていない。ただ、1本の新幹線の輸送力がサンダーバード1編成では賄いきれないので、東京の始発から接続するサンダーバード14号から、最終の50号までの19本を輸送力としたい。サンダーバードは基本的に9両編成で座席数538である。輸送力は10222人/日となる。

高速バスルート

高速バスだけは常に便数が変動しているといっても過言ではない。今回は大判時刻表に掲載されている東京~京都、大阪、神戸、奈良のバスをピックアップする。座席数はすべて40として計算する。
グラン昼特急/青春昼特急号:大阪行き4本、京都行き1本
ドリーム号:合計11本
東京ミッドナイトエクスプレス(関東バス):1本
東京特急ニュースター号(大阪バス):1本
ツィンクル号(近鉄バス/西東京バス):2本
池袋-大阪線(京王/アルピコ):1本
フライングスニーカー号(近鉄/東北急行):1本
ドリームスリーパー(関東バス/奈良交通):1本
やまと号(関東バス/奈良交通):1本
プリンセスロード(京王/神姫バス):1本
時刻表に掲載されているバスは以上25本だが、この区間も2倍の本数があるとして1日50本としたい。(実際ウィラーで検索すると28本のバスがヒットした。)1日50本のバスで40席だから2000人/日となる。

航空機

東京~大阪は世界でも有数の航空路線になっている。便数は以下の通りで、羽田~伊丹を除くと機材はほぼA320、A321、B737-800といった小型機になっている。羽田~伊丹はボーイング787が主力となっている。

A320やB737-800といった小型機は定員160名、その他の大型機は定員400名とし、羽田伊丹は全便大型機、それ以外は全便小型機として計算すると、
羽田~伊丹が400×29=11600人/日、それ以外が160×29=4640人/日の合計16240人/日となる。

最後に新幹線の輸送力

東海道新幹線の東京~新大阪間は毎日運転の定期列車が96本ある。
N700系シリーズの座席定員1319名を掛けると、1日の輸送力は126,624名/日となる。
東京~名古屋より若干少ないとはいえ、やはり驚くべき本数だ。

全てを比較する。

これが集大成となるが、東京大阪の輸送力比率は以下の通りになる。

やはり、この距離となると飛行機のシェアが少し高くなり新幹線の13%程度ある。実際便数も新幹線の半分以上あり、そこまで少ない感じはしない。今回クローズアップされた北陸新幹線であるが、やはりサンダーバードの収容力が小さくここがボトルネックになっている。もし、北陸新幹線が新大阪までつながって輸送力が確保できるとなった場合、毎日6時から19時まで2本ずつ走ったとすれば1日28本となる。E7/W7計の定員は924名であることを考えれば25800人/日程度にまで輸送力が増加することになる。ただ、これでも東海道新幹線の20%にしかならないので、いかに東海道新幹線の輸送力が莫大かということがわかるであろう。
東海道新幹線以外の輸送力合計は約30%で東京~名古屋や名古屋~大阪と比較しても大きく変わらないことがわかる。

総まとめ

東京~名古屋、名古屋~大阪、東京~大阪に分けて代替交通を考えてきたが、どの区間を見ても東海道新幹線の輸送力が圧倒的すぎる。単純に考えて1編成1319名を輸送できる交通機関(自由席に詰め込めば実質1600人程度は行けるであろうが)と、どうあがいても40人程度しか乗らないバスや、最も人が載せられるANAボーイング777-300でも514名と新幹線の半分以下の飛行機では違いすぎるといわざるを得ない。
東海道新幹線の代替は1編成定員924名の北陸新幹線延伸若しくはリニア中央新幹線(L0系で888名)しかないというのは当然のことであろう。
東京~大阪の移動需要を考えると北陸新幹線にしてもリニア中央新幹線にしても一刻も早い感性が求められるのは当然のことであろう。

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