音楽と数学:音階と数列の秘密
「心地よい和音」と「聞くに耐えない不協和音」
みなさんはこの2つの違いを考えたことはありますか?
音楽は感覚的なものだと思われがちですが、その背後には厳密な数学のルールが存在します。音階の成り立ちや和音の響きは数列や比率に深く関係しており、古代の数学者ピタゴラスから現代の作曲家に至るまで、多くの人がその法則を探求してきました。
今回は、「音階と数列」の関係について、数学的な視点から解き明かしていきます。
1. ピタゴラス音律と完全5度
(1) 音階の始まり:「美しい響き」とは?
音楽の基本は「音階」です。しかし、私たちが当たり前のように使っている「ドレミファソラシド」は、どのように決められたのでしょうか?
古代ギリシャの数学者ピタゴラスは、ある法則を発見しました。それは、「周波数が整数比の関係を持つ音は美しく響く」というもの。彼は、弦を張った楽器を使って実験し、完全5度(周波数比 3:2)が特に心地よく響くことを見つけました。
(2) 完全5度とは?
ピアノで「ド」と「ソ」を同時に弾いてみてください。
明るく、力強く、安定した響きを感じませんか?
これが「完全5度」の特徴です。数学的には、完全5度の周波数比は 3:2 で表されます。例えば、基準音A4(440 Hz)の完全5度上の音(E5)は:
440×3/2=660Hz
この単純な整数比こそが、完全5度の響きを美しく感じさせる理由なのです。
(3) ピタゴラス音律の作り方
ピタゴラスは、この完全5度を繰り返して音階を作ろうとしました。例えば:
• A(440 Hz) → 完全5度上 → E(660 Hz = 440 × 3/2)
• E(660 Hz) → 完全5度上 → B(990 Hz = 660 × 3/2)
• B(990 Hz) → 完全5度上 → F#(1485 Hz = 990 × 3/2)
こうして、完全5度を12回積み重ねていくことで、音階を作る方法を考えたのです。
(4) ピタゴラス音律の問題点
「これで音階が完成!」と思いきや、実はこの方法には問題がありました。
完全5度を12回繰り返すと、本来はちょうど1オクターブ(2倍の周波数)に戻るはずです。しかし、実際に計算すると……
(3/2)^12=129.75
2^7 = 128
微妙にズレてしまうのです。このズレをピタゴラスコンマと呼びます。
この問題を解決し、どんなキー(調)でもスムーズに演奏できるようにしたのが「12平均律」です。
さて、長い序章が終わりました。
12平均律は、実は等比数列と関係があります。
他にも音楽には様々な数列が隠されているのです。いったいどのような数列が隠れているのでしょうか、また12平均律はなぜ「12」という数字で成り立っているのでしょうか。
これからその秘密を探っていきましょう。
以下に続く記事は、「数学に苦手意識を持つ人を減らしたい」という願いを込めて、できるだけわかりやすく音楽と数学を紐付けられるように長い時間をかけて準備をしてきました。
そのため有料記事での公開にさせていただきます。
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読んでいただけると幸いです。
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