ドロップセットは筋肥大に効果的?(論文を元に)
ドロップセット法と筋肥大に関する研究について、詳しく解説します。
ドロップセットとは?
ドロップセット法は、筋トレのセットを終了する際に、休憩を挟まずに負荷(重量)を減らしながら続けて行うトレーニング手法です。例えば、ベンチプレスを50kgで10回行い、限界が来たらすぐに40kg、次に30kgと重量を減らしていく形です。この方法の特徴は、筋肉が疲労した状態でもさらに刺激を与え続けることで、筋肥大を促すことを目的としています。
研究結果から見るドロップセットの筋肥大効果
以下は、ドロップセットと筋肥大に関する主な研究結果の詳細です。
1. Schoenfeldらの研究 (2016)
• 目的: ドロップセット法が筋肥大に及ぼす影響を調べる。
• 参加者: 16人のトレーニング経験者。
• 方法:
• 被験者は2つのグループに分けられました。
1. 通常セット(レッグエクステンションを12RMで3セット、セット間に90秒の休憩を挟む)。
2. ドロップセット(12RMから開始し、限界に達するたびに重量を50%ずつ減らしてセットを続行)。
• 期間: 6週間。
• 結果:
• 筋肉の断面積(太さ)の増加は、ドロップセット群のほうが優れていました。
• また、ドロップセット群は、同じ筋肥大効果を得るために、トレーニング時間を短縮できました。
2. Finkらの研究 (2018)
• 目的: ドロップセット法が筋肥大および筋力向上に及ぼす効果。
• 参加者: トレーニング未経験の大学生。
• 方法:
• アームカールを用いて、以下の2群を比較。
1. 通常セット(3セット、休憩あり)。
2. ドロップセット(限界まで持ち上げた後、重量を減らして続ける)。
• 結果:
• 筋肥大はドロップセット群が有意に高い結果を示しました。
• 筋力向上に関しては、両グループに大きな差はありませんでした。
3. 系統的レビューとメタアナリシス (2023年)
• 分析内容: ドロップセット法と通常セット法を比較した複数の研究を統合し、筋肥大と効率性について検討。
• 結果:
• 筋肥大において、ドロップセット法と通常セット法の効果には統計的な有意差はないと結論づけられました。
• ただし、ドロップセット法は短時間で同等の筋肥大効果を得られるため、トレーニング効率が高いとされています。
ドロップセット法の利点
1. 時間効率の良さ
• 短時間で筋肉を追い込むことができ、忙しい人にも適しています。
2. 筋肉に高度な刺激を与える
• 筋肉の疲労度を最大化し、筋繊維の破壊を促進します(特にタイプII筋繊維に効果的)。
3. トレーニングバリエーションの向上
• 従来のトレーニングに飽きがきた際、効果的に刺激を変える手段となります。
ドロップセット法の注意点
1. 回復時間の確保
• 筋肉への負荷が非常に高いため、過剰に行うとオーバートレーニングになる可能性があります。週に1~2回程度が適切です。
2. 初心者には不向き
• 筋トレ初心者は、通常のセット法で基本的なフォームや筋力を身につけることが重要です。
3. 単関節運動での使用推奨
• スクワットやデッドリフトのような全身運動よりも、アームカールやレッグエクステンションなどの単関節運動に適しています。
まとめ
ドロップセット法は、筋肥大において非常に有効であると多くの研究が示しています。ただし、その効果は従来のトレーニングと比較して圧倒的な差があるわけではありません。ドロップセット法の最大の利点は、短時間で同等の効果を得られる点にあります。
筋肥大を目指す場合、以下のような方法で取り入れると良いでしょう。
• トレーニング後半の仕上げとして、ドロップセット法を1~2種目取り入れる。
• 週1~2回、特定の筋群に集中して行う。
• 怪我や過剰疲労を防ぐため、休息日や回復を十分確保する。
継続的な筋肥大を目指すためには、適切な栄養摂取や十分な睡眠と並行して行うことが重要です。