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春霞の向こうに見える朧月、ワクチン急加速で晴らせるか

朧気(おぼろげ)という単語をグーグル検索にかけてみたところ、「確かでないさま。ぼんやり。」という意味が返ってきました。一言でぼんやりと言っても幾つかの情景を思い浮かべます。この際は本来見えるはずの物が、霞や霧に阻まれて明瞭にならない様子を指します。近視の人が遠くを見たときに輪郭がはっきりしない様子とは異なります。「朧月(おぼろづき)」なんて単語を耳にしたことがあるかと思いますが、これは春を表す季語として俳句で用いられます。

希望を胸に抱いて4月を迎えた方々も多いでしょう。このまま夏の東京オリンピックに向けて景気が上向く一方だと思ったところ、第4波という事態に透明感を失われてしまいました。春霞の向こうに見える月の輪郭は定かではなくなりました。私は一貫してオリンピックは開催可能なので開催すべきというポジションを取っていましたが、情に流されるが如く揺らぎはじめています。春霞を振り払うべく振り下ろされる緊急事態宣言の効果は薄いと感じているからです。

3度目の緊急事態宣言を経験するにあたって、賢い国民は建前で最低限は従いつつも、適切な感染防止対策をすれば普通に生活をしても問題ないとして過ごします。愚かな国民は感染症対策も緊急事態宣言に伴う要請も無視するでしょう。多くの反感を買い、経済的な犠牲を伴いながら行う、愚か者を抑え込むための最後の一押しにどれだけの効果があるのでしょうか。私が実際に見た街の光景や、SNSで流れてくる各地の様子を見て疑念が深まりました。結果は蓋を開けてみなければ分かりません。しかしながら、私はあまり効果がないと予想します。

そして失敗した場合は政府や首長への不信感が爆発することでしょう。菅総理にせよ、吉村府知事にせよ、小池都知事にせよ、高リスクな判断をされたのだと、今更ながらに気が付きました。

この霞を振り払う唯一の希望はワクチンしかないと思います。重症化さえ抑制できれば、当初から最大の懸念とされていた限られた医療リソースに余裕ができると考えるからです。そう考えてたところ、SNSに河野太郎ワクチン担当大臣の4月24日のブログが流れてきました。そこには『ファイザー社のワクチンは、連休明けから毎週約1000万回分ずつ日本に供給されます。』と書かれています。

ワクチンの計画に改めて調べてみたところ、正確には5月中に4300回分のワクチンがファイザー社から供給されるそうです。更に6月末には1億回分のワクチンが手に入る予定です。高リスクグループである高齢者が人口の3割程度だとすると、その人数は医療や福祉従事者分も少し割増して3500万人です。5月中には少なくとも1度目の接種を完了できる計算になります。運用の部分がおそらくボトルネックになってくるので期待し過ぎは厳禁ですが、高リスクな高齢者さえ抑えてしまえば明るい未来が見えて世論が180度変わる気がします。

果たして春霞の向こうに朧気に見えている月はどのようになっているのでしょうか。少なくとも怪しげな数字は見えてこないと思います。綺麗な月と透き通ってどこまでも続く空であるのを願います。

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