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#検察庁法改正案に抗議します のトレンド入りを受けて論点と事実関係を整理してみた(2)

一昨日に「#検察庁法改正案に抗議します のトレンド入りを受けて論点と事実関係を整理してみた」という記事を書きました。多くの方に読んでいただけたようで感謝します。この記事を書いた後にも多くの言論人がこの件に言及をしています。聞けば聞くほど多くの論点があって複雑だと感じています。

改めて、複雑な論点に惑わされないように論点や事実を言語化しておこうと思います。論点を複雑にしているのは、内閣への不信感を煽ろうという思惑があると思っています。私のこの認識は変わっていません。なぜなら本当に解決したい問題があるのであれば、論点を論理的に整理した上で周りを巻き込むはずだからです。

この件において様々な方々が各々の立場や知見をもって反応されています。論点が本当に豊富なので、全部挙げたら膨大な量になりそうです。

様々な意見に触れた中で、須田慎一郎氏(ジャーナリスト)、原英史氏(制作コンサルタント・元経産省職員)、堀江貴文氏(実業家)が動画で述べられていた内容に強く興味を持ちました。この方々がおっしゃっていた内容を軸に、この話題を読んでみようと思います。動画は記事の最後に掲載します。

内閣が検察の人事に介入しているのか

検察庁の人事は実質的に検察の組織内で決定されています。内閣は検察組織で決められた人事案を追認しているのみだそうです。結論を言うと内閣は検察の人事に介入していません。

一連の検察人事については須田氏が興味深い内容を述べられています。

前提知識として、現在の検事総長である稲田伸夫氏はまもなく退任となり、次期検事総長が誰になるのかが話題となっています。その候補に上がっているのが黒川弘務検事長と、林真琴検事長です。

現在の稲田伸夫検事総長の後任は、昨年末の時点で林氏に内定していたそうです。今年1月に閣議決定でその人事が決まる予定でした。ただし、稲田氏から待ったがかかりました。その背景は須田氏が動画内で説明されています。

結果として、1月の時点では検事総長の人事は変わらず、黒川氏の定年延長のみが閣議決定されました。

黒川氏は官邸とのネゴシエーターの役割を担っていたようです。その関係から「黒川氏は官邸と近い」と言われているようです。そして、検察庁から官邸へ次期検事総長人事の相談があった際に、官邸側は黒川氏が良いのではないかという回答をしたそうです。それでも検事組織内での話し合いで後任は林氏に決まり、閣議決定される予定でした。

(ニューソクの第二弾の冒頭では黒川氏と林氏が逆で説明されています。文脈から察するに第一弾が正しくて第二弾が言い間違いだと解釈しました。)

この流れから読み取ると「官邸が黒川氏を検事総長にしようとしている」という邪推は成り立ちません。また、前回の記事にも記載したとおり、黒川氏の定年延長は半年間のみです。

検察人事と内閣の関係

内閣と検察の関係について、堀江貴文氏は別の角度から興味深い意見をしいます。

堀江氏は検察が強い権限を持っているのを懸念されています。法務大臣は検察庁法の下で検事総長にのみ指示ができます。しかし、これは『伝家の宝刀』のようになっていて、実際には使われていないそうです。民主主義の元で間接的に選ばれた内閣が、国民が選んでいない検察官より強い権限を持っているのは良いことと仰ってました。

今回の話題の中で「検察は官邸への捜査権があるので内閣が人事に介入できるべきではない」という指摘も見られました。これに関して私は納得感のあるような無いような感覚でした。堀江氏の意見を聞いて、内閣が検察に介入できる(が、実際はしていない)関係は必要だと感じました。

マスコミがなぜ騒いでいるのか

須田氏いわく、朝日新聞と林氏は捜査内容をリークするほど緊密だそうです。それを裏付けるエピソードは動画内で説明されています。

ほかにも基本的にマスコミと検事は非常に近い関係にあります。マスコミにとっては、官邸と近い関係にある黒川氏が検事総長に就くのは何が何でも阻止したいということです。

立憲民主党がなぜ「検察庁法改正」を叩いているのか

原英史氏が上念司チャンネルでの対談で、立憲民主党の思惑について見解を述べられていました。

立憲民主党を支える組織に公務員の労働組合があるそうです。なので立憲民主党としては定年延長には賛成の立場なはずです。

それなのに今国会で審議されている国家公務員の定年延長にはあたかも反対かのような立場を取っています。でもその内容をよく見ると、的にしているのは「検察庁法」です。国家公務員の定年延長には反対せず、検察のみを的にして騒いでいるのはそのような背景があります。

原氏は動画内で他にも定年延長の是非や、このタイミングでの審議についても意見を述べられています。

今後どの様な流れになるか

今回の騒動はマスコミと立憲民主党などの一部の野党が協力関係にあると私は見ています。

「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグがトレンド入りしました。このハッシュタグがトレンド入りしたのはTwitterへのスパム攻撃によるものだと明らかになっています。

スパム攻撃であることには触れず、ハッシュタグがトレンド入りしたという点だけにおいてマスコミは記事を作り、立憲民主党など野党は国会で質問をしているようです。

これが偶然だとは私は思えません。

須田氏が2月1日に報道した通りであれば、黒川氏は延長された任期をもって定年退職をし、林氏が検事総長に就くのでしょう。

立憲民主党としては、自らが問題提議したから内閣は黒川氏ではなく林氏を検事総長にせざるをえなかったという立場を取ると予想します。内閣を動かしたという偽りの実績を掲げることで注目を集められます。

マスコミとしては、まずこの騒動で視聴率を稼げます。また、黒川氏と内閣の関係に悪印象をつけることで、保留となっている検事総長人事で林氏を検事総長に推す世論が作れるかもしれません。

とりあえず祭りのような騒ぎは落ち着き、冷静な意見が溢れてきたと感じます。しかし冷静な意見の中でも切り口や立場の違いから多様な意見が溢れています。これまで書いた論点も、別の視点を知ることで違う見解になるかもしれません。

引続き雰囲気で流されないように、情報を整理していく次第です。



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