まだ早いけど現状からアフターコロナを考えてみる(3):テレスタディで人工知能と共存できる人材育成
アフターコロナを考えてみる流れの第3弾です。前回は『まだ早いけど現状からアフターコロナを考えてみる(2):会社は建物ではなくなり、働き方改革は集大成を迎える』ということでテレワークを切り口にして考えてみました。今回はテレスタディを切り口に考えてみようと思います。
テレスタディを切り口にと言いつつ、私は身近に学生がいません。現代の教育についても明るくありません。私の経験と掻い摘んだ知識だけで考えていきます。それを加味した上で読んでいただければと思います。
テレスタディって要するに進研ゼミ
テレスタディと聞くとなんだか新しいものに感じますが、実は随分と昔からあります。通信教育と言い換えれば納得できると思います。
私は小学生の頃は勉強ができる方でした。それは幾つか要因があると思いますが、そのひとつに通信教育があります。具体的に言うと進研ゼミ小学講座です。
今はどうか分かりませんが、昔は個人情報の管理が甘く、小学生を狙い撃ちでダイレクトメールが送られてきたものです。進研ゼミのダイレクトメールは漫画がついており、その内容は「これ進研ゼミで見た問題だ」と言って期末テストをサラサラと解いてみせてクラスの人気者になるのが鉄板の物語でした。
「進研ゼミで見た問題だ」でサラサラ解く姿はあながち間違いではありません。私がそうだったからです。進研ゼミの教材で遊んだり、届いたビデオを見てるだけで自然と小学校の勉強を覚えていき、小学校の授業では進研ゼミでやった内容の復習をしている状態でした。当時はそんなこと全く意識してませんでしたが、今思えば当然でした。
要するに私の経験を元にすると、小学校の授業で習うような内容は通信教育で十分だと言えます。(先に言及しておくと、全員がそうとは言いません。)
通信教育の良いところは、気が向いたときに好きな勉強ができるときです。私は漫画やゲームボーイに没頭してよく叱られるタイプでした。一方でたまに気が向いて机に向かうと、ひたすら教材に向き合っていました。大人でもそうですが、気が向かないときは生産性が上がりません。やる気スイッチが入った時に取り組める環境があると、その分だけ興味をもって勉強に臨みます。結果として、校庭で遊びたいのを我慢しながら机に座っているよりも成果が得られやすいのではと思います。
オンライン授業の実現へ急速準備中
登校できない状況が長期化すると、1学期が丸ごと潰れます。その間の授業を丸ごと行わないわけにはいかないので、何かしら対策をしなければなりません。
韓国では小中高の授業をオンラインで行うと決めたそうです。
韓国政府は31日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、小中高の新学期の授業をオンラインで始めると発表した。4月9日に高校3年生と中学3年生の授業を始め、下旬からは小学校に広げる。対象となる生徒は約540万人で、パソコンやタブレット端末がない低所得の家庭には学校や国が貸与する。
政府が通信端末を貸与するという対応により、学生らは登校せずに授業を受けられるようになります。
日本では学校の授業のオンライン化は著作権法などの壁があり、法改正なくして進められないようです。しかし元々オンライン授業は向こう数年で進める予定だったらしく、具体的な議論はされていたようです。現在は文部科学省を中心にして前倒しで準備を進めているということでした。
もし、オンライン授業の準備が間に合えば、1学期の期末試験の平均点は注目です。一部の生徒でも成果が認められれば、改善をしていく足がかりになり、学生生活の在り方が大きく変わる契機になると思います。
全くの素人考えですが、おそらく学校の授業に拘束される時間が減ります。興味のあることに没頭する自時間を多く確保できるようになり、高い次元での文武両道を実現できるのではないでしょうか。
学校は生活を学ぶ場所になる
学力はテレスタディで伸ばせる気がしています。しかし一方で学校で重要な「生活」を学ぶ場所も必要です。倫理観や道徳観、協働するためのコミュニケーションなどは、不合理で理不尽さも含む集団生活でないと学べないと考えています。
また、テレスタディで学力が身につかない学生への配慮も必要です。私のように通信教育だけで学力を付けられる子供もいれば、そうでないタイプの子供もいるはずです。
大学生など大人の世界であれば出来ない者は切り捨てていけば良いかもしれません。しかし、国が推奨する基礎教育はそうはいきません。
子供の教育は親の責任であると同時に国家の責任でもあります。家で親が面倒を見るだけでなく、義務教育の中で後押しするべきと考えています。
基礎教養が身につかない学生らを支えるためにも義務教育における学校は国家の責任として必要です。その場合、先生が生徒を見る時間が増える利点も生じると思います。
大人のテレスタディ
テレスタディというのは学生だけのものではありません。実は私もテレスタディを受けています。会社でSchooというオンライン企業研修サービスに加入しており、私は半期ごとに10コマ程度の講義を抜粋して受講しています。
オンライン授業というのはとても便利です。仕事をしていると、どうしても業務量の波があります。空いた時間を見つけては1時間程度の講義を視聴して、レポートを書いて提出します。オンライン授業であれば、講義を繰り返して視聴できたり、再生速度調整ができるため、時間を有効活用できます。就業後の疲れた頭でセミナーへ向かう煩わしさがありません。
プライベートではYouTubeの動画もよく見ています。時事ネタから専門性の高い内容のものまで、質の良い動画がいくつもあります。移動中や食事中など、暇さえあれば音声だけでも聞いています。
ちなみに趣味で受講しているオンライン講義等ではレポートの提出などありません。このnoteに書くのがある意味でレポートみたいなものです。
人工知能と共存できる人材育成
これまでの社会は与えられた業務をこなしていれば仕事になっています。しかし、テレワークが進むことで本当に生産性の高い人間でなければ仕事ができなくなります。さらには『人工知能で銭形警部は不要になる』の記事に書いたように、人工知能(AI)の介入によって機会的な業務や経験に基づく業務は淘汰されていきます。
アフターコロナのその先に必要とされる人材は、人工知能で代替できない専門性の高い人材となるはずです。奇しくも今般の騒動でオンライン授業が前倒しで普及すれば、そのような人材を早く育成できるかもしれません。
オンライン授業が上手くいけばアフターコロナの子供らは時間を自由に使って各自の興味のある分野に没頭できるようになるはずです。結果が出るのは10年後とか遠い話になるでしょう。この機会の投資としては悪くないと考えています。
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