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自分自身の手の届く範囲を把握しないと、相手を不快にしてしまいかねない

ツイッターを眺めていると、アイドルの柏木由紀さんのユーチューブでの発言の字幕をキャプチャした画像を目にしました。私はAKBあたりのアイドルには興味がないので柏木さんがどのような人物なのかは存じませんが、発言内容は興味深いものでした。キャプチャされていた発言を以下に引用します

もっとこうした方がいいとか、すっごくありがたいんですけど、人によってはね、自分を否定されたような気になっちゃうんですよね。自分が良かれと思ってやったことを、「アイドルなのに何で髪を染めるの?」って言われると、普通に結構へこむんですよ。押してるメンバーが自分が好きだったアイドルじゃないな、自分が好きじゃないなと思ったら、違う人を見つければいいじゃない。「見ていて応援したいな」っていうアイドルを応援するべきだと思うんですよ。

柏木さんが指摘されるファンの行動は、相手を型にはめる典型的な行動だと思いました。私は「手の届く範囲」という言葉を使ってよく表現します。自分が影響を及ぼせるのは手の届く範囲に限られています。目の前のコップを持ち上げられても、隣の家の冷蔵庫は漁れません。自分が影響を及ぼせる範囲は非常に限られています。それは内面も同じです。自分ではない他人の内面はもう既に「隣の家」です。その他人が家族であっても同じです。人間の内面を変えられるのは本人自身です。そこは不可侵領域であると認識すべきです。

アイドルが髪を染めるのは、そのアイドルの本人の意思によるものです。その意思に反する意見を投じられると、人によっては冷蔵庫を勝手に漁られたような不快感を得るでしょう。もちろん、それを不快に思わない人もいます。一概に線を引けないあたりは、どの人間関係であっても難しい話です。

自分自身の手の届く範囲は意外と見誤りがちです。手の長さは思った以上に短くて、なおかつ影響範囲が限られています。十分に留意しなければいけません。例えば私がこうして文章を書いて公開する作業ですら、私が影響を及ぼせる範囲は公開設定ボタンを押すまでです。そこからこの記事を読んでいただけるか、いいねボタンを押していただけるか、どのような感想を抱いていただけるかは他人の内面の領域です。介在の余地がないのを理解する必要があります。

それにしても、立場を変えてファンの心理でこの発言を読んでしまうと悲しくなります。愛情を注いで尽くしていた好きな子に「他に素敵な人がいるよ」とふられてしまう甘酸っぱい心情を想起してしまいます。発言自体は正論なのでなおさらです。追いかけるアイドルは二次元のバーチャルな世界に限るなと、私は改めて思ってしまいました。

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