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予想を超える重箱の隅の突き方に唖然、ワクチン架空予約の騒動に無力さを感じた

自衛隊が提供する大規模接種センターの予約システムが話題になっています。存在しない予約番号が登録可能となってしまっているのですが、それをわざわざ予約して確かめたとして朝日新聞と毎日新聞が防衛大臣から直々に咎められています。悪質なマスコミは重箱の隅をつつこうとするだろうと予想はしてましたが、予想を遥かに超えていていました。

存在しない予約番号が登録可能になっているのは防衛省としても織り込み済みのようです。ワクチン接種を少しでも早く提供するために自治体やその他システムと番号を連携する仕様を落としたそうです。これはスピードを優先するために必要な判断だったでしょう。ワクチンの接種券の交付は自治体に委ねられています。それを全て連携しようとすれば大規模接種センター側の開発工数が嵩むだけでなく、仕様をすり合わせる為の各自治体側の負担も生じます。平時であればそこまで厳密にしたほうがより正確な連携ができるので優先度は高いでしょう。しかし、今は緊急時です。少しでも早くワクチン接種を進めるのを至上命題として優先しなければなりません。システム開発に時間をかけていたら、何でも反対したい人たちは「ワクチン接種が進まない」「自衛隊は仕事が遅い」と批判していたことでしょう。

わざわざ予約して確かめたというのが極めて悪質です。なぜそれをする必要があったのでしょうか。開店セールでアルバイトが慌ただしくしているしている傍らで商品を盗み出し、わざわざ店に戻って防犯システムが甘い説教するようなものです。行動を完了した時点で窃盗は成立しています。架空の予約を行ったことに対する違法性は私の知識では判断しかねますが、善悪で言えば悪だと私は思います。

毎日新聞はこれに対して架空の予約が行えるかを確かめる行為は公益性が高いと判断したと反論しています。私はこれは反論になってないと考えます。ワクチン接種予約システムの実態を知ることは公益性が高いでしょう。しかしそこで架空の予約をする行為は不要です。正面から取材を申し込めば済む話だったのではないでしょうか。あるいは誤登録をした人を探し出すなどの方法もあったかと思います。公益性を盾にして何をしてもいいのであれば、私のような一般人が架空予約をしてそれをnoteの記事にするのも問題なくなってしまいます。もしこれが新聞社じゃなくてユーチューバーだったら、反応も変わっていたのではないでしょうか。

それにしても今回の架空予約に関する騒動について、私はとても残念な気持ちになりました。開発スピードを優先すると、品質が犠牲になるのは当然です。エンジニアでなくともシステム開発に携わったことのある方であればご存知だと思います。これを理解できていない人が一定数いるというのが分かりました。私を含めたシステムエンジニアは、このような方々を如何に納得させる品質を保ちながら迅速にサービス提供をしていかなければなりません。無力さを感じると共に、いい勉強になりました。

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