「走るトイレ」がトイレの常識を壊しにきてる
CESでTOTOが「走るトイレ」を発表したそうです。「走るトイレ」と聞くとなんだか小学生が喜びそうな響きです。しかしギャグでもなんでもなく、割と真面目に「トイレ一体型の車」なんだそうです。
トイレとモビリティ
TOTOはトイレ一体型の車を披露し、スマートフォンアプリを通じてトイレを呼ぶことができるサービスを発表した。公共トイレが少ないエリアやイベント時に快適なトイレ空間を提供する。 同社が出資する米スタートアップのグッド・トゥー・ゴーと連携。米サンフランシスコ州内で実証実験を進めている。米国事業を統括する田村信也取締役は「日本では当たり前の清潔なトイレは海外では価値の高いものになる」と指摘する。
スマートフォンアプリを通じてトイレを呼ぶというのが全く想像できません。そもそもトイレは「行く」ものであって「来る」ものではないのです。全く理解が追いつきません。そこからして脳内を世代交代させないといけませんね。
これがいずれ日本でもサービス化されるのかとか思いがちですが、私はそれはないかなと思いました。なぜなら日本は道が狭すぎるからです。トイレに来てもらったところで駐車するスペースが限られます。実際に写真の通りのものがそこらじゅうを走っていたら邪魔で仕方がないでしょう。これは道の広いアメリカ合衆国だから実証実験ができたのでしょう。
日本で考えられる移動式トイレ
この発表を受けて、特定非営利活動法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さんが「日本での導入の可能性」を挙げてくださってます。記事で挙げられていた可能性が興味深かったので紹介します。
前述の「走るトイレ」はアメリカでの取り組みですが、私は世界に先駆けて日本国内での社会実験が必要だと思います。タクシーのように街なかをトイレが走っていて、必要なときに来てくれるというのも面白いのですが、空車のトイレが走り続けるのも悩ましいですし、必要なときに満車で来ないというのも困りますよね...
そこで、「走るトイレ」から「必要なときに移動するトイレ」に考え方を少し変えて、日本での導入可能性を考えてみます。
挙げられてた内容は上記記事の肝になるので引用しません。ぜひ元の記事を読んでください。トピックを箇条書きにすると3点です。
・街の変化への対応
・老朽化への対応
・災害やイベントへの対応
スケールするトイレ
「街の変化への対応」については要するに街という箱に対して、トイレを自由にスケールさせる発想です。街の細かい変化に対して、とある場所のトイレを増やしたり減らしたりできます。
私はたとえば著名人のライブが地方で行われた際を想像しました。イベント会場のトイレはイベント主催者の責任でなんとかできます。しかし会場の道中やちょっとした観光スポットのトイレが足らなくなるかも知れません。「街の変化への対応」の案を元に考えると、イベントが行われるその日だけ街に全体的にトイレを増やせます。
アップデートするトイレ
「老朽化への対応」については、スマホのアプリを更新するかのごとくトイレをアップデートし続ける発想です。常に最新のトイレ設備を用意できます。内装工事も業者が出張してトイレを一時的に閉鎖することなく、たとえば移動式トイレのメンテナンス工場に一箇所に集めて流れ作業で内装工事ができそうです。
マンホールトイレの普及との相乗効果で効果は抜群
「災害やイベントへの対応」については、割と現実的で必要な発想です。特に災害時のトイレ不足は深刻だと聞きます。移動式のトイレが社会インフラとして当たり前の様にある世界になれば、災害時に避難所へトイレを集められます。
さらに加藤さんは記事内で国土交通省が進めている災害時のマンホールトイレと連携することで水洗トイレにする発想を挙げています。より清潔に利用できますね。マンホールトイレの普及と移動式トイレの普及が進めば進むほど、私達が知ってるトイレではなくなりそうです。
まさかトイレがそう進化するとは思わなかった
日本は少子化が進んでおり、このまま人口は減り続けると言われています。人口が減る地域におけるトイレへの投資は割と悩ましい問題ではないかと想像します。移動式トイレが社会インフラとして整えば、地方でもより快適に生活できそうですね。
トイレをモビリティと絡める発想は全く無かったのでとても良い頭の体操になりました。あたりまえだったモノが想像を超えた進化をするのは心が踊ります。
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