「そうなると分かってた」を導く悪しき「後知恵バイアス」と上手く付き合っていく方法を考える
本日は後知恵バイアスについて調べていました。昨日の記事に書いた確証バイアスは遊びのある認知バイアスでしたが、後知恵バイアスに関しては現時点では救いようがなさそうです。そして私たちの言論空間には後知恵バイアスによる発言に溢れています。
後知恵バイアスは溢れている
後知恵バイアスとは、とある現象が起きた後に、あたかもそれが予測可能だったかのように錯覚してしまう思考です。
スポーツの結果に関する安易な言論はほぼ後知恵バイアスだと思いました。試合結果一覧を観て「やっぱりね」「そうだと思ってた」となどと言うのは後知恵バイアスの典型のように思います。また、「あの選手交代があったから負けたんだ」というような結果から逆算するような論評はどれだけ納得感があっても後知恵バイアスです。
会社で働いてても、失敗した従業員に大して「それやったら失敗するに決まってるじゃん」と言ったり言われたりという経験はあると思います。私もうっかり口にしてしまった経験があります。(しかも上司に。)
結果というのは当事者の行動によって導かれる現象です。判断と行動の連続による着地点が結果です。結果がどうであれ、当事者はその時々に迷いながら判断し、行動をとります。その難しさは誰もが経験をしているはずです。
後知恵バイアスは結果に至った経緯を省略してしまいます。
とある結果が得られた後に、後知恵バイアスによる評価が下されたら非常に残念な気持ちになります。常に無責任なマスコミの論評に晒されるスポーツ選手や政治家など結果を求められる方々が抱えるストレスは尋常ではなさそうです。
後知恵バイアスによる自滅
後知恵バイアスは相手に対してだけでなく、自分にも不利益をもたらしそうです。例えば良い結果に対する後知恵バイアスが働いた時にそれは起きます。
良い結果が得られた時、その結果をもたらした原因を特定しすぎてしまいます。
極端な例です。例えばサッカーのフランスW杯に日本代表が初めて出場を決めた試合、「あれは途中から野人岡野を入れたのが素晴らしかった」と思います。しかし、それはフランスW杯出場を決めた要因のたったひとつに過ぎません。次の試合で野人岡野を途中出場させても試合に勝てるとは限らないのです。
結果は多くの判断と行動の積み重ねにも関わらず、一部分に焦点を当てすぎて間違った「勝利の方程式」みたいなのを導きがちです。
ある程度の勝ちパターンを掴むのは重要ですが、後知恵バイアスによって視野が極端に狭くなってしまわないようにした方が良さそうです。
後知恵バイアスを知ることで穏やかにする
認知バイアスは人間の思考のエラーだと認識しています。認知バイアスの1つである後知恵バイアスは正真正銘のエラーと言うに相応しい現象だと思いました。
認知バイアスは人間に備わった現象なので、克服することは不可能だと思っています。しかし、上手く付き合っていくことはできます。
何かしら結果に言及しなければならない時、またはしたいとき、自らの意見が後知恵バイアスにかかっていないかと言うのを問うてみるのです。結果から逆算した論評になっていないか、読み返してみるのです。
あるいはより多角的に観てみることで後知恵バイアスを薄められるかと思います。プロジェクトなどでは完了後に「振り返り」を行うかと思います。この振り返りを多人数で行うことで後知恵バイアスから開放されてより正確な分析をして次に活かすことができそうです。
自分にも他人にも悪く作用しがちな後知恵バイアスを知って、上手く自らの言論と付き合っていけると良さそうです。