満員電車の運賃を高くする案に賛成

堀江貴文氏が今年の都知事選に立候補すると話題になっています。報道によると当人は当選するつもりが無いらしいのですが、個人的には堀江都知事の誕生は楽しみでもあります。

堀江氏の立候補はアメリカ合衆国のトランプ大統領を彷彿させます。トランプ大統領も自身が大統領になるとは思っておらず、当選してから当惑したという話をきいたことがあります。そのトランプ大統領は政治家ではなく実業家としての実力を発揮してアメリカ合衆国だけならず世界を代表するリーダーとして支持を得ています。堀江氏はそんなトランプ大統領と重なって見える部分があります。

実際に東京都知事を任せられるか否かは蓋が開いてから考えてみようと思います。素質は有ると思っているし、期待はしたいと思っています。

堀江氏が立候補にあたって実質的な政策集とされる書籍「東京改造計画」が発売されます。目次は明らかになっており、いくつもの独特な観点が話題になっています。

幾つか有るなかで「満員電車は高くする」というものがあります。これは小池都知事が言う「満員電車ゼロ」と同じ課題に対する解答です。本日のホリエモンチャンネルの動画でその内容を説明されていました。大胆ではあるけど現実的でもある提案す。この案は個人的には魅力的に感じたので、その立場から意見を述べたいと思います。

例えばピークタイムに数十円の値上げを行う

「満員電車は高くする」の高くするのは運賃です。ピークタイムの運賃を高くすれば、不要不急の利用が減るので上手く分散されて満員電車が緩和されるという理論です。

これは強制的に緩和させるためには非常に効果的だと考えています。私の具体案を述べます。

東京都内における通勤電車のピークタイムは8時から9時です。例えばその時間帯に乗車あるいは降車した人は何十円か上乗せするのです。鉄道の利用者は数十円の違いですら地味に気にするかと思います。少なくとも私は気にします。たかだか数十円であれば知れていますが、それが毎日のように積み重なるとなると、結構な不快になります。

この数十円の上乗せは定期券利用者も例外ではありません。その時間帯に利用したら数十円を上乗せします。上乗せされた分を会社負担とするかはお任せします。月次で精算するのは結構面倒かと思います。企業に対してデメリットを与えるのもこの案の1つの狙いです。

ただし、どうしてもその時間でないとならない方々も居ます。たとえば医療従事者など社会的に必要なインフラでありながら時間をずらしにくい方々です。その方々にはピークタイムでも上乗せされない運賃で利用できる定期券を発行できるようにします。

ピークタイムの値上げによって、例えば9時からの打ち合わせは10時や午後に設定されやすくなります。無意味に9時に一律勤務開始だった企業はフレックスタイム制の導入を検討せざるをえなくなります。通勤を強制的に不自由にする一方で、働き方の自由度を高める効果も期待できます。

ちなみに堀江氏は「ダイナミックプライシング」という単語を利用しているので、時間帯も料金も細かく刻むのを想定しているようです。値上げ価格も1.5〜2倍程度と発言しています。ダイナミックプライシングまでやってしまうと、交通費の計算がしにくくなり、定期券の計算も難しくなります。利便性が落ちてしまうので実現性は低いかと予想します。しかしそれはそれでシミュレーションしたら面白そうではあります。

実は小池都政も取り組んでいる

ピークタイムを緩和させるための提案ですが、実は小池都政も取り組んでいます。それは「時差ビズ」という取り組みです。

時差ビズはピーク時間外の鉄道利用者を減らすために各企業に時差出勤を協力してもらうキャンペーンです。期間限定で実機されており、鉄道事業者によって様々な取り組みがされました。私が利用している都営地下鉄はピーク時間外利用でポイントが付与され、付与されたポイント数によって抽選に応募できるというものでした。

時差ビズは平成29年から始まっていますが、効果は微々たるものです。「小池都知事は満員電車ゼロとか言ってたけど何もしてない」という意見をよく見ますが、正確には「取り組んではいるけど効果が出てない」です。効果が出てないのはやってないのと同義と言われればそれまでですが、そこは小池都知事の肩を持っておきたい所存です。時差ビズの効果については上記のサイトに報告が上がっているので、興味がある方は御覧ください。

ピークタイムの乗車を緩和させるという観点は時差ビズも値上げ案も同じです。ただし、手法が全く異なります。

値上げ案はピークタイムの利用者に『損』を与える方法です。一方で時差ビズはピークタイムを外した利用者に『得』を与える方法です。損得のどちらのほうが人を動かすかと言えば『損』です。これは損失回避(loss aversion)という心理が働くからです。

ちなみに時差ビズで利用者が得られるものは微妙な内容でした。都営地下鉄は先述の通り抽選への応募でした。他には特定の場所で利用可能なクーポンや、粗品という鉄道事業者もあったようです。利用者としてはそのためだけに時間をずらそうという気持ちにはなれません。

ピーク時間外の利用で数百円のクーポンがもらえるよりも、ピーク時間内の利用で数十円の損をする方が多くの人を動かす効果を期待できると考えます。

実現方法

値上げ案を実際に実行しようとすると、課題は幾つか考えられます。

まずは東京都が保有する東京メトロや都営地下鉄のシステム改修です。他社乗り入れの都合も考慮すると、年単位のプロジェクトになるかもしれません。予算もかかるでしょうが、これは必要な投資だと考えます。思い切って使えばよろしいかと思います。

堀江都知事が実現すると、東京メトロと都営地下鉄の経営統合も議論が行われるかと思います。東京メトロは政府と東京都が折半して保有している企業です。実現させるとなると、東京メトロを政府から完全に買い取る形になると思います。運賃を改定しつつ、このあたりをシームレスに統合していけるかも焦点になりそうです。

理屈的には現実的な話です。あとは政治的ないし利権的な都合による障壁がどの程度高いかは気になります。「できない」を並べるのは簡単です。それをある程度の批判を受けながらも大胆に変えていくリーダーの存在を求めています。堀江都知事でなくても結構なので、満員電車を回避するための値上げ案の実現を期待しています。


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