法案成立率96・8%で通常国会が閉会、一方で重要な法案も見送られてる
通常国会が閉会しました。菅内閣としては初めての通常国会となりましたが、それを難なく乗り切ったと評価されています。法案成立率は96・8%であったというのも報道されています。目下の課題は中国武漢市を発祥とする新型コロナウイルス感染症の対策だったかと思います。それにオリンピック関連の調整が生じていました。非常に難しい局面だったかと思います。そしてそれは国会が閉会した今もなお継続しています。
96・8%が成立した一方で、重要な法案を落とした印象もあります。例えば入管難民法改正案です。現行制度では在留資格のない外国人を強制送還できないそうです。また、そのような人々を収容する施設が不足していると聞きます。改正法案はそのような課題を解決します。強制的な帰国を求められるのと同時に、再入国への期間を短くして一時帰国しやすくしたり、収容に代わる「監視措置」を設けたりする内容だったそうです。よく読んでみると総合的には不法滞在者に対して甘くなっているので印象が変わりました。しかしながら、重要なのは悪質な外国人滞在者を管理下に置くことです。国家の安全と滞在者の安心のためには必要だったのではないかと思います。引き続きの検討を期待します。
中国の新疆ウイグル自治区などへの人権侵害に対する非難決議案が見送られたのも残念です。中国の人権を無視した行為の数々は、私たち日本人や西洋諸国が尊重する自由主義の価値観とは相容れないものです。「人権を無視した」というような丸めた書き方も良くありません。強制的な労働、強制的な臓器提供、強制的な避妊、強制的な妊娠、言論に対する暴力的な措置、思想に対する監視、虐殺、どれをとっても自由主義の価値観とは相反する行為です。先日に行われたG7サミットでも、この件は取り上げられました。強制労働については国際的な供給網における根絶へ連携すると表明されています。
日本では諸外国の人権侵害に制裁を科すような仕組みが無いようです。アメリカのように、新疆綿を利用している製造業者の輸入を停止するといった行動に移せないと聞きます。今すぐできることといえば非難決議くらいだったのでしょう。自由民主党と各野党は非難決議を了承をしていたそうです。しかし、与党である公明党が慎重な立場をとったために採択を見送られました。非難決議の採択が見送られたことで日本が中国の人権侵害を容認しているという誤った印象を抱かれる恐れがあります。日本国民としては非常に残念でした。
なにはともあれ、通常国会は閉会しました。直近はワクチン接種の加速と集団免疫獲得へ向けて尽力していただけると期待します。