GoToイベント始動、「錬金術」対策は問題ないか
GoToイベントがひっそりと始まっていました。第1段として開始されたのは大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンです。1デイパスが20%割引で購入可能となっています。1デイパスの値段は日によって異なりますが、例として12歳以上の大人は税込み7800円のところを6240円、子供は5400円のところを4320円で購入できます。更には園内で利用可能な1500円分のクーポンも付いてきます。合わせて3000円程度は安く楽しめるようです。
GoToと聞くとなんとなく味噌が付いてしまった印象は否めません。先駆けとなったGoToトラベルはクオカード付きのプランも割引対象になってしまったり、自動車免許を取得するための合宿やコンパニオン付きの宿泊プランまで割引対象となってしまったのが問題となりました。これらは最近になって割引対象外とされましたが、政争の材料となったこともあり、当初より課題が続々と上がってきている印象です。
次に始まったGoToイートもやはり課題が指摘されました。「トリキの錬金術」と揶揄された問題があります。GoToイートは割引ではなく定額のポイントを付与する制度です。それを逆手に取って付与されるポイント以下の金額で飲食してしまえば「儲け」が生じてしまう事態が指摘されました。実際にどの程度の「錬金術師」が現れたのかは分かりませんが、これは店にとっても迷惑な行為です。すぐに少額の飲食は対処外とされましたが、GoToキャンペーンの危うさが改めて露呈しました。
GoToで錬金術のような課題が発生してしまうのは私は多少は仕方がないと思います。それは設計期間があまりにも短かかったからです。特にGoToトラベルの場合、すぐに手を打たなければ旅行業界を起点とした連鎖倒産が起こりかねない状況でした。あらゆる事態を想定して「バグ」を潰している余裕はなかったと思います。多少の問題発生は許容しつつも、バグとなる課題が見つかったらすぐに直していく手段を取らざるを得なかったと察します。
GoToイベントは果たしてどうなるでしょうか。イベントチケットとなれば課題に上がりやすいのが「高額転売」です。昨今のイベントはただでさえ入場者や座席数が絞られており、チケットの価値が例年以上に上がっています。それを割引された価格で購入して転売すれば、大きな儲けを得られるはずです。そもそも昨年からチケット不正転売禁止法が施工されており、チケットの高額転売は法律で禁止されています。フリマアプリ等でのチケット転売はある程度は抑止されたようですが、SNSを通じた個人間の売買は抑止しきれないようです。
なんとなく盲点になりそうなのはチケットではなくクーポンの方です。GoToイベントではチケット代金2割引の他にも会場等の物販で利用可能なクーポンが付く場合があります。このクーポンで換金性の高い商品を購入したり、値上がりしやすい商品を購入することで儲けが出る可能性は否定できません。チケットの高額転売は法律で禁止されていますが、グッズの転売までは抑止しきれません。
もし想像の及ばないような課題が見つかったら、迅速に修正していただければ結構です。そんな課題を批判するよりも、経済を回すほうが今の日本にとっては重要です。誠実かつ上手に制度を活用して日本に元気を取り戻したいものです。