泣き虫えりちゃん
2月生まれの私は、幼稚園に入ったときは誰よりも小さくて、すぐに泣くことから「泣き虫えりちゃん」と呼ばれていた。
早生まれであることで同い年の子と比べてもかなり体も小さかったし、言語能力も低くてうまく喋ることができなかった。
幼稚園でみんなでやることも自分だけできないことが多くて、誰もいない時間にひとりでこっそり練習していたことはなんとなく覚えている。
小学校に入ってからも相変わらず私は「泣き虫」で、人よりできないことが多く、自分に自信が持てなくていつも怯えて生きていた気がする。
そんな私が、唯一自信を持てるのがダンスだった。
4歳から始めたダンスは、初めて人よりできることだった。
ずっと公民館でダンスを習っていたけど、小学4年生で「もっと大きな舞台に立ちたい」と思って一人でミュージカルのオーディションを受けた。
今考えても、あの「泣き虫えりちゃん」がよくそんな挑戦をしたなと思う。
そこからは、その舞台をきっかけにダンス教室も変えて、毎日学校終わりにはレッスンに通った。土日もレッスンや舞台の稽古をして、私の生活はダンス中心になった。
そんな毎日の中、気づけば中学3年生。私はあまり泣かなくなっていた。
多分だけど、ひたむきに努力した自信が、私を支えてくれるようになったんじゃないかと思う。
それに気づいてからは、常に勉強したり、練習したり、挑戦をするようにしてきた。そうすればするほど、私の自信は強固な城壁になって、私を守り続けてくれた。
そして気づけば37歳。私は全く泣かなくなっていた。
もちろん落ち込むことや傷つくことはあるけれど「泣いてる暇があったら、努力しよう」と切り替えられるようになった。
お母さん、幼稚園の先生、いじめっこのみなさま。
あの「泣き虫えりちゃん」はこんなに大きくなりました。
それでも、まだまだ努力したい。まだまだ学んで、まだまだ挑戦したいと日々思います。足りんなぁ自分、という気持ち。
ふと「まじで最近泣かんくなったやん」と思ったので、なぜだろな?と振り返りたくなり、これを書きました。
ずっと前だけ見てひたすらに走ってきた今、改めてうしろを振り返ると、何人もの「泣き虫えりちゃん」がこっちを見て笑顔で手を振ってくれているような気がします。
「泣き虫えりちゃん」がいたから今の私がいる。
ありがとう、泣き虫えりちゃん。