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ターゲットについての深ーい話【サーカスの鞭はターゲットなのか?】

今回は、トレーナーが使うターゲットについて深堀りします。

出演している猛獣使いは世界No1らしい!ということで、猛獣ショー目当てにサーカスを見に行った事があります。さすが、世界No1ですね、一人で一度に複数頭のライオンを自由自在に扱っていました。もちろん、視点は一般人とは違います。「なにか盗めるモノは無いか」という目で見るので全く楽しめません、っていうか楽しむつもりは初めからありません、職業病です。

「バッシッ!バッシッ!」と鞭の音が鳴り響きますが、ライオンは叩いていません。一見すると鞭で追い立てている様にも見えますが、ライオンの行動とは全く連動していません。
よく観察してみると、鞭を使って出番のライオンを指定して、鞭を使って何をするか指示をだして、ライオンが動き始めてから、動作と関係ないところで、ステージを叩いて音を出しています。

おおー、鞭で指示出している!

さらに種目を終えたライオンが指定の位置に戻ると、鞭を使ってライオンの首筋をそーっと撫でているではないか、鞭でタクタイル!
さらに、鞭を猫じゃらしのようにも使っている、ライオンが鞭にじゃれている、牙が怖い!

おおー、鞭が強化子になっている!

確かに、ステージのライオンは鞭に対して怯えてはいません。むしろリラックスしている。鞭を振り回したり、音を出していることは、ライオンにたいしては何の意味もなく、むしろ無駄、観客向けのパフォーマンスだけです。

ほー、世界No1猛獣使い、やるなー。

猛獣使いの鞭は、イルカのトレーナーにとってターゲットに近いモノかもしれない。しかし、鞭のほうがターゲットより沢山の意味を含んでいる。鞭はむしろトレーナーの手の代わりとして使っているといったほうが良さそうです。
ということは、イルカのトレーニングで使うターゲットも手の代わりとして使っても問題ないのかもしれないと思い始めました。

ターゲット1

トレーニングを始めた直後、ターゲットについて教えられたこと
・トレーニングで使うものなので、遊びの時に使ってはイケません。
・ターゲットごとに種目が決まっているので違う種目に使ってはイケません

ルールは破るためにある!
早速勝手にルール変更!。ターゲットは、手の代わりでーす。
・褒める目的で体をなでる為に使ってもOK
・ヒントや目印や目標として使ってもOK
・サインとして使ってOK
・遊びの時間に使ってもOK
・同時に何個使ってもOK

体をなでるのなら、先端の素材は触り心地が良くないとダメだなー。
この場面では、もう少し長いターゲットが必要だなー。
尾ビレ用は先端が大きい方がいいなー、でも軽くないとダメだ。
突進してきたときに、イルカが怪我しないようにしたいなー。
割れる素材は危ないなー。
折れる素材も危ないなー。
イルカに絡まらないようにしないといけないな。
素早く動かすには軽くて強いものが必要だ。

こんなワガママなご要望にお応えして、ご親切にターゲットを作ってくれる変わった人は回りにいませんので、自作するしかありません。自然に材料(発砲素材、ポール、ボール、糸など)と接着剤に詳しくなり、切断や研磨等の工作の腕が上がっていきました(なにやってんだか)。

そしてターゲットは、モノ作りの現場で職人が使う精神や魂が宿った神聖な道具と同じ領域へと進化します。ターゲットには、イルカの幸せを追求したい、イルカと仲良くなりたいという思いが宿っています。決してトレーナーや企業の都合で、無理やり種目をやらせる為の道具ではありませーん。

ターゲット1本ごとにストーリーと意味があるんです。

と・い・う・こ・と・は、

・途中で折れたターゲットを直さずそのまま使う
・尖った部分がそのままになっていて怪我しそう
・ぶらぶら、グラグラして外れそう
・ビニールテープが剥がれてヒラヒラしている
・使っている途中で先端が飛んで行ってしまった
・通常使用でも簡単に折れる
・ターゲットにカビが生えて長期間黒くなっている
・ターゲットに魚の鱗や血液がついてカピカピになっている
・プールサイドに置きっぱなし
・ターゲット消去するときに、反対向きにひっくり返して使う

こんなことは絶対にありません、よね、皆様。

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