ルリ

2002年生まれ

ルリ

2002年生まれ

最近の記事

友達を作ろうと焦ることをやめた

 最近は自己肯定感を常に高い状態に保っていられている。苛々とすることこそあれども、毎日気分よく、大きな落ち込みもなく1か月を過ごせていることに自分でも驚くほどだ。  そもそも、だいたいの自分の気分が落ち込む原因は、人間関係をうまく構築できないことや、やるべきこともこなせない己の怠惰さに対する情けなさなんだなと21年間自分と付き合ってきた最近、ようやくわかってきた。  台湾に留学に来てもう75日ほど経過するが、初日あたりで、自分は結局変われないな、フレンドリーにはなれないなと

    • 焦燥

      焦燥感だけが、日々刻々と募っていく。 ふと気がついたのは、自分がもう15の娘じゃないってこと、21歳は立派な大人だということ。 片隅でそっと浸かっている生ぬるいプールには人が押し寄せ、誰もが辛い顔をしながらその汚い水をすすって笑いあっている。 ハエの死骸の浮いたその水で口をゆすいで、どこか遠いところに行きたいと願う。 町中でみかけた白い丸々と肥えたオバサンの柔らかそうな肌に触れてみたい衝動に駆られて一歩踏み出した、こちらに見向きもしないで顔を扇ぎ続ける彼女を見てはっとした

      • 私の好きなバンドは全部なにかの真似事?

         最近、ということでもないのだろうが、世の中みんな、何かをカテゴライズすることが大好きだなと感じる。好きでやっているのではなく、その方が資本主義の世風に都合がいいからそうしているだけなのかもしれないが。音楽性や顔面の系統、性格、本の種類、もはやカテゴライズされていない分野を探す方が難しいのではないだろうか。確かに綺麗に分類されてくれていると探しやすいのだ。  そして、カテゴライズは自分たち自身の身にも及ぶ。なんならそれがメインなまである。インターネット上や現実の特定の場所に

        • 虚しさ

           前日、私は夕飯を抜いた。唯一の生きがいともいえるアルコールも控え、念入りに全身のケアを行う。「遊ぼう」という曖昧な誘いだったため、何をしようか、と考えを巡らせ、「大宮 デートスポット 男友達」という浮ついた検索履歴が、ただただ痛々しかった。  部活の合宿帰りという彼は、小さめのスーツケースを転がし、暑さに顔をしかめたまま歩き始めた。行き先を確認しないことに抱いた小さな違和感は、彼の足が迷うことなくホテル街に向かったことで、確信に変わった。炎天下の中、何軒かホテルを覗いて歩

          インターネットが使えなくなる日

          少し前に、太陽フレアのニュースが話題に上がっていた。 聞き流しただけで終わってしまったので詳しいことはわからないが、なんでも、太陽の表面で爆発が起こるとその勢いだか発せられる電磁波の影響か何かで地球上の電子機器がことごとく機能しなくなってしまうのだとか。 その話を聞いて想像される世界に少しばかりワクワクさせられてしまったのは、何も私だけではないだろう。 地球の表面から宇宙を煌々と照らす外灯やビルの煌めきは全て消え、夜は完全な闇に包まれる。 スマホ中毒の私たちはもはや娯楽を失

          インターネットが使えなくなる日

          映画「パラノーマルアクティビティ」あらすじと感想

          一軒家で同棲をするカップル、ケイティとミカはある日を境に深夜の妙な物音に悩まされていた。 この怪現象の原因を解き明かすべく、ミカは暗所撮影も可能な高性能カメラで家で起こる出来事を映像で記録していく。 霊能者を家に招いて原因を尋ねるも、彼は「悪魔は自分の専門外」として自分の手に負えるものではないと放棄。 怪奇現象を信じ切れず、しびれをきらしたミカは家に潜む「何か」に対してコミュニケーションを取ろうと試みたり、挑発行為を繰り返す。 「何か」はケイティを狙っているような様子で、怪

          映画「パラノーマルアクティビティ」あらすじと感想

          映画「悪人」あらすじと感想

          あらすじ 建築現場で働く宮崎在住の青年、祐一は、スーツ用品店で販売員として働く光代と出会い系サイトで知り合う。 いくつかの共通項から親近感を抱く二人は、互いに孤独を分け合うように惹かれあっていく。 しかし祐一は、光代と出会う前に同じように出会い系サイトを通して知り合った女性を殺害してしまっていたことを光代に告白する。 殺人犯として警察に追われることになった祐一だが、光代はそれでも一緒にいたいと彼と共に逃亡することを決意する。 ‐‐‐ 感想 どこか同情したくなるような殺

          映画「悪人」あらすじと感想

          映画「劇場」あらすじと感想

          高校時代の友人と立ち上げた小さな劇団に所属する劇作家兼俳優の永田は、女優を志して上京してきた沙希と出会う。 自分の感情を素直に、思ったままに表現する沙希に惹かれた永田の猛アタックの末に交際を始めた二人、永田は沙希に自身が脚本を手掛けた舞台のヒロインを演じることを依頼する。沙希の演技が話題となり、劇団の仕事が立て込んだことを理由に、下北沢に位置する沙希のアパートに永田が転がり込む形で二人は同棲を始める。 ‐‐ この永田という男がとにかくめんどくさくて勝手で最低な男である。

          映画「劇場」あらすじと感想

          映画「水曜日が消えた」あらすじと感想

          大雑把で遊び人のきらいがあるミュージシャンの月曜日、趣味もなくかかりつけの病院での検査を日課としている少し神経質な火曜日、スポーツマンで毎朝近所をランニングしている水曜日、イラストレーターの木曜日、家の一角を植物で占拠し、他の曜日にも水やりを頼むほどの園芸好きの金曜日、かなりのゲーマーでスマホのアプリ開発を仕事としている土曜日、釣りのために車の免許を取得するほどの釣り好きである日曜日。 幼い頃の交通事故が原因で、各曜日ごとに性格も趣向も筆跡すらも全く異なる7人分の人格が一人の

          映画「水曜日が消えた」あらすじと感想

          タバコを吸う女は嫌だって

          昨日初めて会っただけの君に、こんなにも気持ちをかき乱されるなんて思ってもみなかった。 田舎町で怠惰な毎日を送るついでにちょっとの刺激欲しさで見ず知らずの他人と簡単に体を重ね、その回数で意味のない優越感を抱いていたようなくだらないわたしにとって君はあまりに眩しすぎて、ほとんど神様みたいだった。 外見や話し方で勝手に判断して、君も他の有象無象とおんなじ、ただ体を重ねたいだけの男だと思っていた。 好きな人じゃないと触れたいと思えない、とハッキリと口にした君を、最初は疑っていた。そ

          タバコを吸う女は嫌だって

          B級サメ映画「ジュラシック・シャーク」を語る

          久しぶりにB級サメ映画を観た。今度の映画は、サメ界の文字通りレジェンドであるメガロドンが主役。 メガロドンといえば大昔に絶滅した15~20メートルもの全長を持つ巨大な古代ザメだが、今作ではそのメガロドンをかなりのショートスケールで味わえる。 「あれはメガロドンだわ!」 サメに対する興味の薄そうな水着ギャルはそう断言するものの、どう見てもそのサイズはせいぜい全長1.5~2メートルほど。 サメ映画お得意のお色気シーンもそこそこに、使いまわしの買い取り映像や安っぽいCG、出

          B級サメ映画「ジュラシック・シャーク」を語る

          Pain Pain Pain/teto を聴きながら

          初対面の、好きでもない男に抱かれた帰り道、田舎町に帰る東武東上線の中。 ラブのないラブホテルには泊まってすらいない。2時間3000円足らずの休憩料金を払って、愛のない愛撫をされてはしゃいだように笑っていた数時間前の自分の軽薄さを思うと誰かを殺してしまいたくなる。 彼に会った時から既に暑さでボロボロになっていた化粧は帰り際にホテルの鏡で確認した時にはぐちゃぐちゃになって目も当てられないほどだった。出掛けに丁寧に外ハネにした髪はベッドに押し付けられ続けて原型を留めていない。電車

          Pain Pain Pain/teto を聴きながら

          映画「子宮に沈める」あらすじと感想

          「大阪2児放置死事件」を元にして作られた作品。 由希子は夫と二人の子供、長女の幸と長男の蒼空と四人で暮らしていた。 仕事の煩雑さに追われて家を留守にしがちであった夫に耐え切れず、彼女は子供たちを連れて家を出る。 最初の頃こそ仕事をしながら資格の勉強をし、子供たちに少しでもいい暮らしをさせるべく奮闘していた由希子だったが、夜職に就き、交際相手ができた彼女は次第に子供の世話を疎かにしていく。 ‐‐ この映画を観て一番ハッとさせられたのは、自分の中に「ネグレクトをする親は最初

          映画「子宮に沈める」あらすじと感想

          映画「残酷で異常」あらすじと感想

          エドガーは妻とその連れ子の三人で暮らしていた。 非常な愛妻家を自称する彼だが、記憶にない「口論の末に妻を窒息死させた」という罪で謎の施設に幽閉されてしまう。 そこではテレビ画面越しの講師の指示で、罪人らは自分の犯した殺人の内容を繰り返し全員の前で告白させられ、さらに自分が罪を犯すシーンを繰り返す世界の中で追体験させられる。 自分が妻を殺したことを信じきれないエドガーは、数人の罪人らに協力を仰いで施設からの脱出を図る。 ‐‐ 邦題から猟奇モノを想像していたが、思っていたものと

          映画「残酷で異常」あらすじと感想

          映画「百円の恋」あらすじと感想

          32歳、職なし、男性経験なし、弁当屋を営んでいる実家暮らしの一子は妹との諍いをキッカケに家を飛び出し、馴染みの百円均一のコンビニエンスストアで最低な同僚らや社員と共に深夜勤務のアルバイトをしながら無気力な日々を送る。 帰り道に位置するボクシングジムでよく見かける弱小ボクサー 狩野と距離を縮め、年齢を理由にボクサーを辞めた彼を家に住ませて生活を共にする中で、一子は他人と殴り合い、試合後には肩を叩きあって互いを称えるボクシングという競技に惹かれていき、狩野の通っていたジムに入会す

          映画「百円の恋」あらすじと感想