第58回 『オデュッセイア』第8〜9歌
アルキノオス王は、オデュッセウスに、筏と50人の漕ぎ手を与え、故郷に送り届けると約束する。
この時点でオデュッセウスは自分の名前も素性も明かしていない。
オデュの立ち姿ひとつで、王は「きっとこの方は只者ではい」、と確信したみたい…。
ふぅ〜ん(差別的なものを感じなくもない)。
とりあえず、その晩は泊めてもらい、
次の日…。
旅立つオデュのため、宴が催される。吟遊詩人が現れ、竪琴を手に詩を詠む。
その詩の内容は、なんと「トロイア戦争」についてだった。しかぁーも、登場人物は俺、すなわちオデュッセウス。そして戦友アキレウス。
「ゲゲッ!」
まさか俺の話⁉︎
オデュッセウスは思わず顔を布切れで隠した。
でも歌詞を聞いていると、なんか俺とアキレウスが喧嘩してて大将のアガメムノンがほくそ笑むとかなんとか…、変な内容(もっと良いのなかったの?)。
ところがオデュは懐かしさのあまり、涙が溢れて来る。
心配した王が訪ねる「あれ、客人どうかしました?」
慌てて涙を拭き「いえなんでも、なんでもないです」
「…」
しばらくすると席上の誰かが、「おっーし、外出てみんなでスポーツ大会やろうぜぇ!」
「ヨォ〜し、イェーイ!」
とか言って席上にいた野郎たちが勢い良く外へ飛び出す。
「どうですか客人、あなたも」「あ、はあ」
促されるままオデュも外へ。
若者の一人が円盤投げを始め、「でぇあぁー!」って、放り投げ、ビューンつって飛んでゆく。
「どんなもんだい!」なんつって、でみんなは「おおぉ、さっすがぁ〜!」とか言って盛り上がってる。
するとその若者が…
「どうです客人。あなたの腕前も見せてもらえませんか?」
なんてふられるオデュ。
「いえいえ、私は結構」なんて謙遜するもんだから…
「でしょうねぇ。ま、ここで恥をかいちゃね」
カッチーン!
オデュもやはり人の子、こんな世間知らずのクソガキにそんなこと言われちゃ、そりゃ黙っているわけにはいかない。
こっちは戦争の英雄オデュッセウス様だ馬鹿野郎!
「小僧それ、貸してみぃ!」
それを見たアルキノオス王は確信を更に深める。
「客人、やはりあなたは只者じゃない。良い加減教えてください、
あなたは一体どこの誰ですか⁉︎」
「私の名はオデュッセウス。イタケーの王です」
一同「えぇー!」
続く。
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