西部警察 第87話「口を閉ざした少年」ロケ地巡り・後編 ~武蔵野市の小学校に狛江のファミレス、そして多摩川河川敷と“西東京大縦断ロケ”を敢行!?~
前回に続き、1981年7月12日放映の西部警察 第87話「口を閉ざした少年」ロケ地巡りの後編をお届け。DVDやブルーレイをお持ちの方、配信動画をご覧の方は、ぜひ本稿と併せてご覧ください。
いつもの通りネタバレを含みますのでご容赦を。間違いなどあればご指摘も歓迎します。
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少年が通う世田谷の公立校、ロケ地は武蔵野市の私立小学校だった
建物や正門の雰囲気は当時のままでした
さて“口を閉ざした”シマオカ少年が通うのは、世田谷区立西部小学校という設定。世田谷も西部署の所轄なのか。なんでも西部と命名すれば良いということもないような…。
情報屋シマオカが隠したブツを何としても欲しい犯人グループが少年の動向を見張り、チャンスをうかがいます。その背景にチラッと映った電柱の住所看板を手がかりに、Googleストリートビューで確認すると…
裏門という設定だけど、実際には正門の左隣でした(笑)
ロケ地は「私立 武蔵野東学園 武蔵野東小学校」(武蔵野市緑町2丁目)と判明。エントランスや校庭の雰囲気は放送時のまま残っています。
写真は上の裏門写真のちょうど反対側、ローレルが逃げていく方向
のちの場面では、リキが拉致された少年を救うべく犯人の日産 ローレルに飛び乗る重要なシーンも、近くの緑町団地付近で撮影されています。リキは校庭を抜けて犯人を追いますが、実際の撮影ポイントはさっきの校門の奥でした(笑)。
その際、背景で目立っていた小学校向かいの東芝ストアは、現在も街の電器店として現存していましたが、お隣りのサッポロラーメン店は閉店した模様。
230セドリックとケンメリの衝突場面は伏見通り!? ヒントは背景にチラッと映る関東バス!
リキがセドリックに飛び乗ったのはこの辺りか
話は少しさかのぼります。小学校から帰宅途中の少年が危うく拉致されそうになるも、リキの阻止により未遂に終わります。
ここではスタント無しでルーフに乗るリキお得意のカーアクションによる活躍が観られます。230セドリックはケンメリ スカイラインと衝突。犯人グループは逃走します。
犯人車はいつもの“タクシー落ち”スタンダードグレードで、しかもボディカラーも素っ気なさの極みというべき白。登場した瞬間から「あ、壊される」とわかる(笑)。まだこの頃は協賛スポンサーの“共豊産業/エンケイ”の社外品アルミホイールも撮影車両の全車には装着されておらず、なおのことです。
■路線バスはロケ地探しの重要なヒントになる!
セドリックが路上のスカイラインに突っ込んだのはこの辺り? この写真ではわかりづらいですが、通りの遠く奥にゴルフ場らしきフェンスが見えます
衝突シーンの背景には、関東バスの「東伏見行き」吉52系統の路線バスが対向車線へ曲がってくるのが見えます。目の前でクルマがぶつかっていて、バスの運転手さんも驚いただろうな(笑)。
そう、路線バスはロケ地解明の重要なヒントとなります。都内と言いながら、横浜市営バスや浦安辺りのバス路線なんかが映り込むことはよくある(笑)。
吉52系統は現在「吉祥寺駅北口」~「電通裏」(東伏見駅近く)として今も現役の路線。武蔵野東小学校近くも走行しています。
そこで周辺の片側2車線道路を探してみると、吉52系統の走行ルートで東伏見へと繋がる「伏見通り」が該当します。
■遥か遠くに武蔵境のヨーカ堂が見えた!?
ちなみに関東バスが曲がって来た背景をさらによーく目を凝らしてみると、遠く彼方にゴルフ場(打ちっぱなし)特有の緑色で高いフェンス。そしてさらに遥か遠くにイトーヨーカ堂の屋上にあるあのロゴが一瞬映ります。西部警察のアクションシーンは迫力を増すためかかなりの望遠で撮影されているようなので、好天時には遠くの景色まで凝縮され映り込むことがままあります。
そこで周辺に大フェンスを探してみると、武蔵野市関前の「イトーゴルフガーデン」がありました。そして同じ方向上には、中央線 武蔵境駅前の「イトーヨーカ堂」が。2022年現在は駅前にも多くの高層マンションなどが立ち並び、さすがに伏見通りからは見渡せないと思われますが、おそらくビンゴでしょう。偶然にもイトー繋がり(笑)。
武蔵野北高校付近の伏見通り。レンガ風の門柱は当時のまま!
あと、少年が歩道を歩いている際、後方にレンガ風の門と緑色のフェンスも見え、さらにバス停のポールに「XX校」らしき文字。
したがってリキがセドリックのルーフに飛び乗ったロケ地は、伏見通りの東京都立武蔵野北高等学校付近とわかるのです。もちろん吉52系統にも「武蔵野北高校」バス停があります。
懐かしいファミレス「アイホップ」はかつて狛江にあった一号店か
日本1号店だった「IHOP(アイホップ)狛江店」跡(現在はタクシー営業所に)
リキと少年が昼食?をとるファミリーレストラン。メニューには「IHOP(アイホップ)」の文字が。うわーー懐かしい!
アイホップはアメリカ由来のファミレスチェーン。既に日本から撤退してしまいましたが、特にパンケーキが推しだったのを覚えています。調べてみると、なんと日本進出1号店は狛江(東京都狛江市西野川1丁目)らしい!
狛江と言えば、石原プロモーションのある調布からもほど近いロケーション。しかも店外を小田急バス(これも赤い色けど関東バスとは明らかに異なるカラーリング)が走行しているのが確認出来るところからも、狛江のセンが濃厚のようです。
なお狛江のアイホップ跡、建物は現存していますが、こちらは平成8年に建て替えられたもののよう。現在はタクシー会社(グリーンキャブ 狛江営業所)としてそのまま活用されています。
クライマックスは多摩川の河川敷で銃撃戦
一兵らが急行する河川敷の多摩沿線道路は今も当時の雰囲気そのまま
場面はクライマックス。リキと少年が拉致された廃工場跡は残念ながら手掛かりがなく不明。きっと今はすっかり様変わりしてマンションかなにかになっているのでしょうね。何か情報をお持ちの方はぜひコメント欄へ!
先に逃げ出した少年がわざわざタクシーで向かう西部署の建物は現存せず(品川区東品川)。
いっぽう犯人グループや谷さん、一兵が黒パトで向かった多摩川沿いの多摩沿線道路は、当時のままの雰囲気です。
右の鉄橋下で銃撃戦が!(背景にあるのは京王閣競輪場)
少年が情報屋の父から預かった覚せい剤を隠した城西線の鉄橋は、川崎市の京王 相模原線の京王多摩川~稲田堤間にある多摩川橋梁。犯人との撃ち合いシーンでは、多摩川対岸の京王閣競輪場もチラッと見えます。
何気ないエンディングシーンの中にも街の景色の変遷があった
撮影当時はこの先が右に曲がるカーブ路に(ガードレールで囲われていた)
そして事件は一件落着。男たちを労うかのような裕次郎氏のムーディな曲と共に、刑事たちがパトカーを連ねて走り去る夕景のシーンは、調布市にあるにっかつ撮影所から多摩川堤防沿いに続く桜堤通り~染地通り付近か。
ただし背景を観ると、当時は道が途中で途切れていたようで、行き止まりのガードレールが見え、今とは様子が異なります。あれれ?
撮影時(1980年前後)の航空写真(国土地理院)では確かに道がカーブしている
そこで国土地理院の航空写真を調べてみると…確かにカーブしてる。走ってくるパトカー群は、調布市内(上方向)からカーブを曲がって来た訳です。
ちなみににっかつから真っ直ぐ来る道は、割と最近(2010年代?)に開通した模様。
こちらは丁字路が出来た2010年代の撮影。左方向に行くとすぐににっかつ撮影所がある
なお次の第88話では、そのシーンの手前側と思われる調布市内方向から染地団地沿いを走行するシーンが流れます。そう、おそらくは2話分のエンディングシーンをこの辺りでまとめて撮ったものと推察されます。
正確な場所は特定できなかったけれど、第88話エンディングのロケ地はだいたいこんな感じ(調布市染地団地付近)
次の第88話とは、シリーズ屈指の名作「バスジャック」!(こちらも後日ご紹介する予定)
第88話は団長が傷だらけになりながら大切な妹のアコちゃんを無事救出。エンディングでは黒パトに2人で同乗しホッと一安心…という大事なシーンなのだけど、外からの撮影には全く反映されていないという。
DVDやブルーレイをお持ちの方、配信動画をご覧の方は改めてチェックしてみてください。と、そんなどうでもいい野暮な突っ込みを入れながら、今回はここまで(笑)。
西部警察 第87話「口を閉ざした少年」ロケ地巡りの後編はいかがでしたか。不定期更新ですが、次回もお楽しみに!
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