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世界で一番好きだった先輩が卒業した。

疎遠になってしまっていた
世界で一番好きだった先輩が卒業した。

この先輩の穴を埋めるために、
私は終わりのない恋愛を繰り返していたんだと思う。

一年前と変わらない笑顔で
私にスマホを向けてくれた先輩。

気がつくと声が震えて過呼吸になっていた。

もう嫌われたと思っていたから、
最後に目を合わせて会話できる日が来るなんて、信じられなかった。

勿論先輩の第二ボタンは別の人の手に渡っていて。

それでも
残り二つになった学ランのボタンが欲しくて、私は思わず声をかけた。

先輩のボタンを千切る時、手が震えてなかなか取れなくて、持っていた花束で頭を叩かれた。
全部が幸せだった。

最後に先輩へ手を振る頃には、
先輩の学ランからボタンは一個もなくなっていた。







先輩との思い出をやっと過去にすることができた。


このまま、一生先輩と似たような人を探して
一喜一憂して、あのひとを引き摺ってゆく人生だと思っていた。




好きなんて単純な言葉ではなくて、もうただ執着に近かった。
卒業式が終わっても毎晩夢に出てくる先輩。

あと少し時間が経てば、きっと忘れられる。

やっと、そんなふうに思えた。










それでも卒業”おめでとう”なんていえないよー。

私を「後輩」にしてくれたのは絶対に先輩だし

私を置いて卒業しちゃうなんてずるすぎるよー。

しあわせになってね。

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