なぜ雑誌は紙の発行をやめてはいけないのか
雑誌が紙の発行をやめ、オンラインにシフトするケースが年々増えている。今や若者の情報はInstagramやYouTubeが中心となり、紙の雑誌は美容院で読むくらいで自分では買わない、という人も多いはずだ。そんな中でわざわざコストをかけて紙の雑誌を発行するのは非効率であり、オンラインで新たな雑誌体験を作ろうとするのは賢明な判断に思える。
一方で、私が見ている限りでは「紙をやめたことで成功した!」と言える事例はいまだ生まれていないようにも感じる。もちろん売上だけが正義ではなく何をもって「成功」と定義するかは難しいが、中の人たち自身が今後のデジタルシフトの方向性に確信をもてていないケースの方が多いのではないかと、雑誌のデジタルコンテンツを見ながら感じることが多いのだ。
同じコンテンツでも、モノとしての紙の雑誌の流通とデジタルコンテンツの流通は、店舗とECの違いと同じくらい流通設計が異なる。デジタルメディアは無料でコンテンツ提供して広告で稼ぐモデルからダイレクト課金に移行しつつあるが、紙の場合は有料コンテンツである雑誌こそが無料コンテンツを同じ役割を果たしていたのではないかと私は考えている。
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