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希望と失望を繰り返して、それでも人生は進んでいく

その先には希望なんてない、とわかっていても、希望を持ち続けることでしか立っていられないときもある。

帰ってくることなんてないとわかっていても、もう一生まみえることはできなくなってしまったのかもしれないけれど、万にひとつ、0.0001%の確率で、もしかしたら。

その希望だけをたよりに持ちこたえている心の隙間は、いつか隙間ごと塗り替えられる日を待っている。

もう何もかも知っても大丈夫だと、その希望も失望もすべて過去のものだと、笑って受け入れられる日を。

いつだってそれは今かもしれない、と思うのに、最後の最後で「いや、まだ」と俊巡してしまう。

たった0.0001%だったとしても、もしそれがゼロになってしまったとき、自分がどうなるのかが予測できない恐怖がある。

それはもはや希望ではなく、願望と呼ぶべきものなのかもしれない。

だって、何の根拠もないのに、きっと大丈夫だと信じることしかできないのだから。

ほんの少し動けば、何もかも知ることはできる、できるのだけど。

核心に迫ることをのらりくらりと避けながら、浅瀬のところでもう何年もぐるぐると遠回りをし続けている。

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「書く」ことは、「書けない」ことからはじまると「言葉の贈り物」の中で若松英輔さんが繰り返し説いていた。

まだ言葉には落とせない、でも確かにそこにあるもの。

それをつかむためには、「書けない」ことを認めるところからはじめるしかないのだと。

私にはまだ書けない、と思った。

それを書くには、きっとこの先20年も30年もかかるだろうし、書く前にうっかり自分が死んでしまうかもしれない。

でもきっと、いつか「書ける」と思えたとき、希望でもなく失望でもなくただの「事実」に昇華されるのだろう、と思う。

まだ書けないことがたくさんある。

でもそれはいつか、言葉になるために私を待っている。

希望とも失望ともつかない、言葉にならない感情を抱えて。
それでも人生は、進んでいく。

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最所あさみ
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