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kakukakubooks
世の中にはきっと、「相談所」が足りていない
30代になって、20代の頃よりも洋服や小物を大切に使うようになった。
新しいものをひっきりなしに買ったり捨てたり売ったりするのではなくて、本当に気に入ったものだけを買って長く愛す。
年齢が上がるとともにこうしたスタイルの変容が起きる人も少なくないのではないかと思う。
一方で、ひとつのモノを大切に使い続けようと思うと立ち塞がる壁が『お手入れ』である。
個人的に課題を感じたのは、『クリーニングや修理屋さんに持っていくほどではないちょっとしたお手入れ』の部分。
一応百貨店に勤めていた時に一通りのことは習ったものの、たとえばコートのブラシは何がいいんだろうとか、この場合は洗剤を特別なものにした方がいいんだろうかとか、意外とわからないことが多い。
ググれば一般的な情報を得ることはできるけれど、洋服や小物に愛着があるからこそ『本当にこれでいいか誰かに聞きたいな…』と思ったりする。
こうして考えると、小売業界の中で『買った後』のことを相談できる場所は意外と少ないのかもしれない、とふと気づいた。
一方で、これまでの消費のあり方を考えれば、そのサポートをすること単体ではビジネスにならないのも明白である。
人は新しい洋服が欲しいのだし、汚れたらクリーニングに出せばいいし、そうするまでもない安い洋服なら捨てればいい。
自分で洋服を手入れしたい需要自体がほとんどなかったのである。
だからといって今後こうした手入れがメジャーになるとは私も思っていない。
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