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雨の日も風の日も、12連敗したときも。

6年前も、祈るような気持ちで優勝決定がかかった試合を見守っていた。

神宮に足繁く通い始めたのが2013年頃のこと。いつもふらっと行っても当日券で入場できたのに、この年は終盤になるにつれてチケットの売り切れが目立ち始めたことを覚えている。真中さんが監督就任してはじめての年で、哲人がトリプルスリーをとるくらい大活躍し、秋吉とバーネットの継投が心強かった。

「近いから見にいく」程度だった私が、はっきりと「ヤクルトファン」を自覚した年だったと思う。

あれから長らく低迷し、今年も優勝予想に名前が上がることなどなかったヤクルトが一気に巻き返して掴み取ったリーグ優勝。6年の間に顔ぶれは大きく変わったけれど、温かく明るいチームの雰囲気は以前と変わらないことにしみじみと胸を打たれていた。

私は神宮で見る野球が好きだ。目も当てられないほどの大量失点で負けても、連敗の暗いトンネルの中にいても、「明日は勝てよー!」と前向きな声に包まれる空間が好きだ。ベンチやグラウンドで選手達が仲良くじゃれあう姿を見るのが好きだ。

贔屓球団の負けが込むと腹が立つでしょうとよく聞かれるけれど、ヤクルトの試合は結果がどうあれ、チームや球場の雰囲気がよいのであまり苦に感じたことはない。それよりも、今日も無事に試合が開催できて選手たちが元気にしていることの方が私にとってはよっぽど大事だ。

神宮球場はドームのように屋根がないので、雨が降れば試合は中止になる。少々の雨ならば開催されるので、小雨が降る中でレインコートを着て応援したことも一度や二度ではない。

そして屋外なので夏は暑く、冬は寒い。オープン戦の時期や最終戦の頃には、コートを着ていても芯から冷えてしまうほどだ。夏でも雨のナイトゲームは思いのほか冷えるし、10月に入れば風も冷たくなってくる。屋外球場を本拠地にする球団のファンは、文字通り「雨の日も風の日も」球場に足を運び、暑さ寒さに耐えながら声援を送る。

ときどき東京ドームに行くと、雨に打たれることも風に吹かれることもなく快適な気温で野球が見られる環境を羨ましく感じることもある。けれど、神宮球場に帰ってくると「やっぱりうちの本拠地が一番だわ」と思う。不便を感じることもあるけれど、神宮で飲むビールがやっぱり一番うまい。

今年はオリンピックの影響でシーズンが長引いた上に最終戦までもつれこむ大接戦だったので、選手もファンも寒さとの戦いは例年以上だったはずだ。秋をすっとばして一気に冬の空気になった東京で、彼らの戦いはまだまだ続く。

雨の日や凍えるように寒い日は、試合が終わると観客席でじっと耐える我が身よりも先に選手たちが風邪をひきませんようにと願う。活躍できず下を向いて足速に去っていく選手には、早く帰ってリラックスしてまた明日がんばろうねと念を送る。

順位や成績がどうあれ、選手達はかわいいし私はスワローズが好きだ。優勝が嬉しいのも、自分の好きな人たちががんばった結果が報われ、喜ぶ顔を見られたから、という理由が大きい。

こうやってたまにご褒美のような瞬間が訪れることもあるけれど、健やかなるときばかりではなく病めるときの方が長いシーズンだってある。それでも私たちファンは、雨の日も風の日もじっと耐えて神宮の観客席からゲームの行方を見守っている。

CSや日本シリーズの頃にはまた一段と寒さが増しているだろうけど、全員が怪我や病気などせず精一杯大舞台を楽しめますように。ヤクルトスワローズ、いい球団です。

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最所あさみ
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