今年の思い出を抱きしめて、また来年へ。
昨日で、ヤクルトの今シーズンの試合がすべて終わった。
この時期の神宮には、秋風に包まれた切なさと寂しさが去来する。
さよならがない年なんて、ないのだから。
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ヤクルトのホーム最終戦でビジョンに映し出される、レトロなフォントのメッセージが好きだ。
(これは2016年ver)
ヤクルトならではの、アットホームな雰囲気も好きだ。
試合後に、選手同士つつき合いながら仲良く球場を後にする姿を見送るたび、この人たちを好きになってよかったといつも思う。
今年もたくさんの『おつかれさま』と『ありがとう』を浴びながら、燕戦士たちは神宮球場を後にした。
彼らがまた神宮球場で白球を追う姿を見られるのは、冬を越えて春の足音が聞こえる頃だ。
誤解を恐れずにいえば、わたしはヤクルトが負けてもあまり凹んだことがない。
もちろん負ければ悔しいし、試合中は胃を痛めすぎて何も食べられなくなったり気絶しそうになることも多々あるけれど、勝っても負けても試合が終わる頃には『やっぱりヤクルトが好きだなあ』と思う。
Aクラス常連なわけでもないし、毎年怪我人が続出するし、二軍の人数はいつも足りていないし、我がチームにセーフティリードなんてものはないし、それでも試合に行くたび『やっぱりヤクルトが好きだなあ』と思う。
東京のど真ん中にある球団なのに、なぜだか実家に帰ってきたような安心感がある。
それがヤクルトスワローズというチームだ。
それにしても、今年はひたすら最下位を走り続けた年だった。
伝説の16連敗の際には気の狂ったようなポエムを書いたりもした。
途中からチーム防御率なんて恐ろしくて見られなくなり、先発の勝ち星も数えなくなった。
がんばれライアン、がんばれかつおさん。
通算成績には目をつぶり、毎試合『今日こそ勝て』と祈りながら試合を見ていた。
哲人が打てば実質勝ち!村上くんがHR打ったら5点入るルールにしよう!
目眩のしそうな点差を目にしても、むちゃくちゃなヤクルトルールを作って精神の平静を保つスキルもだいぶ上達した。
蓋をあけてみればむちゃくちゃに負けたシーズンだったけれど、不思議と楽しい記憶の方が多いシーズンでもあった。
そしてヤクルトが優勝した2015年と同じくらいの頻度で神宮に通ったような気がする。
なんで今年はこんなに楽しかったんだろう、と思い返してみれば、神宮が常に私たちの『待ち合わせ場所』だったからなんじゃないか、と思う。
虫明さんにお会いできたのも嬉しかったし、
NFBガールズたちと浴衣神宮も楽しんだ。
神宮で撮ってもらった写真に思いがけずたくさんの反応をもらって嬉しくなったりもした。
神宮のいいところは、みんなでライトに集まってわいわい見て、たとえ負け試合だとしても『ああ楽しかった』で終われるところだと思う。
それは神宮の開放的な空間のおかげもあるし、ヤクルトの試合は基本的に乱打戦になりがちだから何度も傘を振ったりチャンテを歌ったりできるのもあるし、ごはんがおいしい球場だからというのもあるのかもしれない。
そしてファンもみんな寛容で温かくて、とんでもない負け方をしたって笑い飛ばしてしまうさっぱりした気質と、なんでもネタに変えてしまう懐の深さがある。
今年も花の都の真ん中で、たくさんの人と野球の時間を過ごせてよかったな、と思う。
ぶっちぎりの最下位だったのにチームの雰囲気がそこまで悪くならなかったのは、未来につながる『希望』があちこちにたくさんあったから、というのもあるかもしれない。
村上くんは言わずもがな、賢吾も奎二も廣岡くんも、気づけば内野に若手が増えて、ピンチの時に若手ズがマウンドに集まっている姿を眺めてはほこほこしていた。
今年一気にベテラン勢が退団して寂しいけれど、その代わりに期待の星たちが来シーズンはさらに活躍してくれるのだろうと思えばこそ、笑顔でさよならができるというものだ。
そして今年は、俺たちの哲人の200号という一大イベントもあった。
惜しくもトリプルスリーは逃してしまったけれど、連続盗塁の記録や今年も30本塁打を達成してチームを盛り上げてくれたお哲は、今年もさすがの一言だった。
今年のチームの雰囲気を見ていると、ちゃんと歯車が噛み合えば来年はAクラスと言わず優勝も夢じゃないんじゃないか、という気がしてくる。
まあどこのファンも毎年シーズンがはじまる前はそう思っているものだけど、私はけっこう真剣にそう思っている。
ヤクルトはいいチームだからきっと選手たちも楽しく野球をやっていると思うけれど、やっぱり勝負事の世界だから、来年こそ勝ってほしいと強く思う。
好きなひとたちが嬉しそうな姿をまた見たいな、と思う。
優勝に泣くその日のために、彼らはまたこれからトレーニングを積み重ねていくのだろうと思いながら。
今年もおつかれさまでした。
そしてたくさんの素敵な思い出をありがとう。
また来年、神宮で会いましょう。
2019年シーズンの閉幕に寄せて。
(カバー画像:東京ヤクルトスワローズ公式Twitterより)
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