「つなぐ人」の価値 #mediacruise
「 "アテンド"って、これからどうなっていくと思いますか?」
昨晩開催した #mediacruise の報告会イベントで、私が一番話したかったテーマは地域におけるアテンドの役割とそのリアルについてでした。
それは私自身が地域に足を運んだり、取材に行ったりする中で地域のつなぎ役としてのアテンドに大きな可能性を感じてきたからでもあります。
歴史を振り返ってみると、庶民も旅行ができるようになった頃はツアーなどの団体旅行がメインでした。
自分で雑誌や地図を使って調べる労力をかけるなら、すでに決まっているツアーに申し込んだり、会社や地域の集まりなどの団体で旅行する方が楽に楽しめたからです。
そこからPCやスマホが普及したことによって検索コストが下がり、誰もが自分流にアレンジして1人旅や友人と気ままに週末旅をするスタイルが定着。
特にこの2、3年はまとめサイトやInstagramによってちょっと調べるだけで『みんなが行っている場所』『行っとけば間違いない場所』の情報にアクセスでき、誰もが失敗しない旅行プランを手軽に考えられるようになりました。
しかし、今度は逆に情報コストが低くなりすぎて、有名な場所であればあるほど誰もがインスタにあげていて、記事や動画も溢れ、今後はさらにVRでその場にいるかのような体験ができるようになっていくはずです。
そうすると、もはやその場所に行くことそのものは旅行先選びの価値ではなくなり、コモディティ化していきます。
では何が人を惹きつける原動力になるのか。
私はその鍵は『人』にあると思っています。
この人に会いたい、話したい、仲間になりたい。
それだけは現地に行かなければ感じられない価値だからです。
しかし、勝手に調べて行けば24時間365日そこに佇んでいる大自然や建物とは異なり、人に会いたいからといって急に押しかけるわけにもいきません。
だからこそ、信頼を担保して現地の人と繋いでくれるアテンド役の人の価値がこれから大きくなっていくのではないかと思うのです。
昨晩は嬉野創生機構の渡邉欣嗣さんと有田町役場の深江亮平さんにご登壇いただいたのですが、お二人とも
『アテンドしていると茶農家さんが家に招待してくださることも』
『有田のおじさん家とか、メディアには絶対出ない民家まで案内できるのが強み』
などもはや観光 "地"ではなく "人"ベースでアテンドされているのがとても印象的でした。
私も実は #mediacruiseの前に下見で単身嬉野入りした際 、茶農家さんのご自宅でワイワイ言いながらご相伴に預かり、そのとき一気に嬉野との距離が縮まったように思います。
地域の面白さはやっぱり人が作っているからこそ、観光地や絶景を見ておいしいものを食べるだけではなく、人に会う旅のニーズがこれからさらに大きくなるだろうということを改めて感じたのです。
さらに、報告会の前半で各メディアに話してもらった『印象的だったこと』も、そのほとんどは人にまつわる話でした。
一応各メディア5分の予定だったのですが、みんな話し始めたら止まらなくなってしまい、人に会い、聞いた話を伝えることを生業にしている人たちの底力を感じた時間でした。
これまで、アテンドを受けられるのはメディアの特権でした。
『広める』仕事をしているからこそ、読者を代表してじっくり話を聞き、作り手やその人たちの言葉を代弁していく。
それが媒介者としてのメディアの役割だったと思います。
しかし、今や誰もがメディアになることができる時代。
さらに価値観や好みも多様化し、誰にでもウケる場所やモノではなく、一部の人に熱狂的に愛されるものこそが力を持ち始めています。
実際、今回の#mediacruiseでも、嬉野はあえて全員で同じ場所を回ることで同じ場所を違う角度から紹介するスタイルに挑戦したのですが、有田では5メディアそれぞれの特性にあわせて取材先を変え、2、3人という少人数でじっくりお話を伺う時間を作りました。
報告会当日に時間が足りないほど語ることがたくさんでてきたのも、アテンドのみなさんが単に自分たちの紹介したいものやわかりやすいものではなく、メディアカラーにあわせて丁寧に行程を組んでくださったからこそ。
コーディネート力と地元からの信頼力の掛け合わせが、アテンドの総合力なのだと改めて感じました。
そしてこれからは、相手に合う場所やモノをコーディネートしてアテンドし、感動と熱狂をうむのはメディア相手だけではなく個人にも広がる必要があると私は思っています。
たとえその人自身がインフルエンサーでなかったとしても、人はいいものに出会ったり感動したら必ず人に伝えたい生き物なので、熱を持って誰かにそのよさを伝えてくれるはず。
今やサロンやコミュニティもあって縦横無尽に人脈がつながっている時代ですし、個人としての発信力がなかったとしても、まわりの10人に熱く伝えてくれれば10人の良質なフォロワーが生まれます。
そしてその中で2、3人でも感化されて実際に足を運んでくれれば、そこからまた10人ずつに広がり、さらにはどこかで強力なインフルエンサーにまで到達したり、メディアからの取材依頼のきっかけにつながることもあります。
マスメディアほどすぐに効果が目に見えるわけではないですが、今後人の購買行動はさらに信頼できる人のおすすめに依存していくはずなので、中長期的な視点をもって訪れた人の満足度を確実にあげていくことこそが、向こう5年、10年のその土地の強さを作るのではないかと思います。
今回の私たちの取り組みは既存のメディアで考えれば小さな取り組みでしかなく、もしかしたら同じお金で雑誌に広告を出した方がたくさんの人に『広める』ことはできたのかもしれません。
でも、数字の上では同じ観光客1人でも、雑誌をパラパラ眺めていて目についたから行ってみた人と、私たちが言葉を尽くしてよさを伝え、さらに地元のアテンドの方と繋いだ上で現地を訪れた人とでは、旅の満足度がまったく違うはずです。
さらに私たちをきっかけにその土地を訪れて満足した人たちが、また熱をもってよさを伝えていってくれたら、それにまさる喜びはないのではないかと思います。
これはもしかしたら、メディアの役割が『広げる』から『繋げる』になりつつある兆しなのかもしれません。
単に情報を伝えるだけではなく、私たち自身が楽しく、そしてその土地やモノを大好きになりながら、共鳴してくれる人たちと繋いでいく。
綺麗事かもしれないけれど、そんな地道な積み重ねこそが、関わった人みんなを幸せにするんじゃないかと思いながら。
私自身も、こうやって大事な人や場所やモノを少しずつ増やしていきたいと思ったプロジェクトでした。
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また改めて私のTwitterやnoteでも写真などあげていけたら。
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