「夢を与える存在」について
山田哲人、通算100本塁打おめでとう!
球団至上最年少での100本塁打達成、これからがますます楽しみな選手です。
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「スタンド越えて打球は はるかな夢へと続く
行け山田 新たな時代を」
哲人が打席に立つ時にヤクルトファンが声をひとつにして歌う、選手個人の応援歌です。
普段何気なく口ずさんでいるけど、こんなに哲人さんにぴったりな歌詞もないな、と改めて。
哲人さんのプレーはいつも、どんなにすごい記録を達成した時でもそこがゴールなわけではなく、これからさらに続いていく夢の通過点、という感じがするから。
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いち野球ファンとして、「夢を与える存在」ってなんなんだろう、とよく考えることがあります。
哲人さんは私にとっていつも夢を与えてくれる存在です。
どんなに負けていても、苦しい局面でも、哲人が打席に立てば何かが起きる気がする。そう思わずにはいられない存在。
もちろん私だけではなく、神宮に集まる何万人の人、テレビやラジオで中継を見て/聞いている人、一球速報を見ながら試合経過にハラハラしている人、たくさんの人の夢をのせて打席に立っています。
そしていつもその期待に応えてくれる。「哲人なら」と思わせてくれる。
なんて夢のある人なんだろう、と思います。
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でも私たち野球ファンはただ彼らから夢や希望を受け取るだけではなくて、彼らからもらったパワーを今度は自分の場所で還元していく義務もあると思う。
哲人さんが与えてくれる夢は、その一振りのホームランや試合の勝利だけではありません。
野球選手としては比較的小柄で細身だった彼が努力に努力を重ねて達成したトリプルスリーという栄冠や通算100本塁打という記録。
みんな哲人のことを天才だと言うけれど、私はそれ以上に本当に努力の人だなと思っています。
そして誰よりも負けず嫌いだし、いつだって高みを目指している。
調子に乗ったり、このへんでいいやという甘えの気持ちがでてくる弱さを知っているからこそ、いつも謙虚に自分の足りないところを意識している。
ひとつひとつの記録もすごいけれど、この姿勢こそが彼のすごいところであり、私たちが見ている夢の正体なのだと思います。
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誰だって日々を過ごす中でうまくいかないことがあったり壁にぶつかったり、もうだめだと思うことがたくさんあると思います。
でも自分の好きな選手がその壁を乗り越えてさらなる高みを目指している姿を見ていると、私も彼らと同じフィールドに立てるように努力しなければ、もともと野球センス溢れる哲人ですらこの記録を打ち立てるのに人の何倍も努力してきたのだから、私はそれよりさらに努力しなければ、という気持ちになります。
人によってモチベーションの保ち方はそれぞれだろうけど、自分の好きな人や憧れの人ががんばっている背中を見るというのは誰にとっても刺激になるのではないでしょうか。
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プロ野球選手がよく口にする「夢を与えたい」という言葉。
それは野球少年たちだけに向けられるものではなく、日々の生活の中で「夢」というものを忘れてしまいがちな私たち大人にも向けられているのだと思います。
私の仕事のひとつひとつが彼らに貢献できるわけではないけれど、彼らからもらった夢や希望というパワーを倍にして社会に返していきたい。
そして巡り巡って私のやったなにかがまた彼らの希望につながっていくといい。
これは野球に限らず、私の長いファン人生の中でいつも思っていることです。
私に夢を与えてくれる大好きな選手たちに、いつか私が夢を与えられる存在になれるように。それが毎日をがんばる原動力です。