『文明とは、何よりもまず、共存への意志である』
100分de名著からその存在を知り、最近原著を読みはじめたオルテガの『大衆の反逆』。
1930年に書かれたとは思えないほど、『今』という時代を描き出した一冊だと思う。
今日の特徴は、凡俗な人間が、おのれが凡俗であることを知りながら、凡俗であることの権利を敢然と主張し、いたるところでそれを貫徹しようとするところにあるのである。
この本の中でオルテガが批判しているのは、市民が権力を持つ民主主義というシステムではなく、自己成長に関心がないにも関わらず自己の正義を信じて疑わず、渦となって猛威を振るう『大衆』の存在だ。
大衆というワードの現代版は、『マイルドヤンキー』とも言い換えられるかもしれない。
自分が属す環境やコミュニティに安住し、それ以外に関心を持たないこと。
コミュニティ内のルールやモラルが合理的な手続きではなく『空気』によって形成されていくこと。
こうして排他的な環境を作り、結果として不必要な分断や争いを作る存在をオルテガは『大衆』と定義したのではないかと私は考えている。
中でも下記の一節は、現代のSNS社会を予見したかのような時代のフィット性がある。
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