きっと、「仕事」はこれからもなくならない。
ケインズが「孫たちの経済的可能性」というエッセイの中で100年後には労働は1日3時間になると予想した話は有名だ。残念ながら私たちはまだ1日8時間労働の時代を生きているけれど、育休や有休の取得率が高まっていることを考えると、たしかに以前よりも労働時間は短くなりつつあるのかもしれない。
さらにここ最近またベーシックインカムの話が盛り上がっている。BIの議論は厳密にいうと社会保障の話ではあるのだけど、「働かなくてもいい未来」の話として議論されることが多い。
働かずとも生活できるだけのお金が得られるようになったら人間は膨大な余暇をどう過ごすのか?この問いを考えるのは、たしかに面白い。
BIの議論をきっかけに冒頭のケインズの小論を改めて読んでみて気づいたのは、彼はあくまで「労働がなくなる」とは言っていなかった点だ。「1日3時間程度になる」という言い方しかしていない。つまり経済問題が解決したとしても、労働がゼロになることはないと考えていたということだ。
そしてふと思ったのは、第三次産業がGDPのほとんどを占める現代社会は、ケインズの視点でみるとすでに経済問題は解決した状態にあり、私たちが今やっている仕事は突き詰めると余暇の奪い合いなのではないかということだ。
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