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リベラルであること、伝統を重んじること

「リベラルな視点で人生を考えていても、伝統には敬意を払いたい。常に好奇心をもちながら、既成概念にはどんどん挑戦していきたいのです」

イギリスに"Holkham Hall"というカントリーハウスがある。250年以上の歴史をもつ巨大なお屋敷だ。

イギリスにはまだ爵位が存在しているので、伯爵夫妻が広大な土地と建物、所蔵している美術品を管理している。日本の場合はこうした歴史的価値のある建造物はほとんどが国や地方自治体が管理・整備して公開しているため、私有財産をある種の公共財として世に還元しようとするイギリス貴族の姿勢が連綿と続いていることに憧れに似た思いも抱く。

吉田五十八が岩波茂雄の別荘として建築した「惜櫟荘」を譲り受けた作家・佐伯泰英が、「かような建物は身銭を切って保存していくしか方策がない」と「饒舌抄」の解説に綴っていた。
一般公開すれば幅広い人々が訪れられるような工夫が必要不可欠だ。しかしそれをしてしまうと本来のよさは失われてしまう。であれば、公開せず私有財産として保存していくのが最適なのかもしれない。たしかそのような主旨であった。

世のため人のためを思えば、公開し一人でも多くの人にその美や歴史を感じてもらうべきなのだろう。しかし公開することで失われる価値があるとしたらそれは本末転倒だ。
何かを生かすことと守ることは、ときに反目しあう要素でもある。

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