宇宙のしくみ、心のしくみ 小人さん問題
先の章で上げた脳の中にいる小さな私達ですが、実はグルジェフだけでなく、いろいろな人が指摘しています。
最近では、大谷翔平選手が影響をうけたという、中村天風氏もその一人です。
天風氏は、総理大臣だった原敬や山本五十六、東郷平八郎、作家の大佛次郎や宇野千代を始め、当時の各界のリーダー的人物がこぞって師事した伝説の哲人でした。
その天風氏の代表的著作「信念の奇跡」の中で以下のように述べています。
さあそこでだ、心を確実に強く頼もしい状態にする第一の方法を教えよう。
我々の心の思い方、考え方を支配する心の中の観念要素を取り換える方法であります。
あなた方は日常、心でいろんなことを思ったり考えたりするのは、心の単一的な働きのように思ってるだろう、ところが違うんだ。
にんげんの心というものの働きは、そのほとんどが、心の奥にある潜在意識が不思議な作用の根本を成しているんであります。
ところが、思ったり考えたりするのは心の表面の実在意識がおこなっているために、心の作用の一切合財を取り換える実在意識がおこなっているような勘違いをしてしまうんです。
この心の深部にある、心の倉庫ともいうべき潜在意識の中には、思考を組み立てる材料である観念要素というものが入っている。何か思ったり考えたりすると、この観念要素が心の表面に飛び出してきて、良いも悪いも、その思い方、考え方におおきな影響をあたえるんです。
そして我々の潜在意識の中にある観念要素が積極的であるか消極的であるかによって、人生を良くもすれば悪くもするという厳粛な事実があることを思ったりしらないで、その事実を疎かにしている。
観念要素という概念は、前野教授の言うところの小人とかなり近いと思いました。
このあと、天風氏は、その観念要素の取り替えの方法について語っていますが、その一つが先に述べたるブルース・リプトン博士とまったく同じであったので、驚きました。
成人になっても脳がθ波になる時間があります。それは、眠りに落ちる直前です。
θ波状態になると脳はニューロンをつなぎ合わ、あらたな回路をつくりだせるようになるそうです。
ブルース・リプトン博士も、天風氏もこの時間に希望に満ちた思考をすることで、潜在意識の書き換えが可能である事を指摘しています。
脳科学者でもない天風氏は直感によってそれを解釈知ったといいますが、驚きべき事だと思いました。
このシリーズは、仕組みを解き明かする推理がテーマなので、書き換えの方法についての詳しい方法については、天風氏やブルース・リプトン博士の著作をお読みください。
解釈する小人について
外界を見聞きしたとき、私たちはそれを解釈します。
例えば、なにかヒラヒラしたかるそうなものが飛んでいると蝶だと思ったり、四つ足で歩いている毛むくじゃらの生き物に出会ったら、犬?とはんだんしたりします。
また、情動も同じです。
好きな人に会えば、ドキドキしたり、犬の糞を踏んでしまったらいやな気分になります。
好きな人に会った場合は、それからの楽しいひと時を想像して嬉しい気分にもなりますが、逆に嫌われはしないかとドキドキしたりしますし、犬の糞を踏んでしまった場合は、匂いが履物についてしまうこと、その後の煩わしい処理を想像して気分が落ち込むことでしょう。
これらは、今までの経験が作り出した感情です。
まだ、なんの経験も無い子どもであれば、で犬の糞を掴んで遊ぶかもしれません。
まだ、叱られた事が無い子どもは母親に嫌われはしないかとドキドキする事もないでしょう。
様々な経験が作り出す小人さんたちが四六時中私たちの情動を刺激しているのです。
そういった解釈する小人さんたちが、みんな黙ったとしたらどうでしょう。
小人さんたちは、脳のパフォーマンスをたくさん消費しています、小人さんたちがみんな黙れば、脳はフルパワーで世界を知覚します。
あなたは何気ない景色がすごく美しく見えたり、した瞬間はないでしょうか?それはどういった時だったでしょう?
そうした瞬間、私たちは本当の自分を体験しているのかもしれまいと思います。
脳科学者ジルボルトテイラー博士はある日、脳卒中により、左脳の機能が停止してしまいました。
テイラー博士は、その時、自分が自分取り巻く全てのエネルギーと一体化したように感じたそうです。
左脳に住んでいた小人さんたちが死んでしまったので、過去に作られたプログラムから開放されたのでしょうか?
まるで、悟りを開いたような世界観だと思いました。
博士は、右脳には自他の区別がなく、世界との一体の一元論の世界であり、左脳は、論理的で私は世界とは切り離された、二元論的な世界観を持っていると言います。
非常に興味深い講演ですので、よろしければ、ぜひ視聴してみてください。