【小数点→中点etc.】ツイッターのハッシュタグにおける句読点類の代用表記
9月10日は【9=句《。》・10=読点《、》】或いは【9=句《。》と10=点《.》】で“句読点”の語呂合わせになるのですが、日本では句読点の日が公式認定されていない状況です。一方、アメリカでは9月24日に“National Punctuation Day”という句読点の記念日が公式認定されています。
ツイッターで【 #映画999 】という映画『99.9―刑事専門弁護士―THE MOVIE』のハッシュタグが令和3年9月9日にトレンド入りしました。ピリオドがハッシュタグに使用できないことから、本来の読みの[えいがきゅうじゅうきゅうてんきゅう]ではなく[えいがきゅうひゃくきゅうじゅうきゅう]あるいは[えいがスリーナイン]と誤読してしまうことから、昭和54年から数本制作されたアニメ『銀河鉄道999』の劇場版シリーズのタグと勘違いする恐れがあります。
今回はツイッターのハッシュタグに句読点類が使用できない問題を解決する方法としての代用表記について語ります。
(※R5-10-20更新)
ハッシュタグは他のサイトと共通で、キーワードの左右を半角スペース(※文章の先頭の場合及び文章の終りの場合は省略可)で空けてから、キーワードの先頭に半角のナンバー記号《#》を入れて、リンク表示の色に変化したら生成できます。
代用表記はツイッター以外のサイトでは使用できないものがあるので注意です。
小数点の代用は縦書き表記では中点《・》
日本語本来の縦書き表記では小数点《.》の代用として中点《・》を使用し、その流れからネットニュースでも中点が小数点に使用されることから、小数点を中点に置き換えた【 #映画99・9 】という代替表記によるハッシュタグが生成できます。
20世紀の頃からネットニュース記事で使われていても、中点を小数点の代わりにする表記が意外と知られていないことからネット上ではなぜか広まらないようですが、ファンの動き次第では中点を使用したタグが広まりそうな予感です。
但し、ツイッターの仕様上、円周率の3.14の代わりの【3・14】のように数字と中点の組み合わせはハッシュタグが生成されないことから【円周率は3・14】のように文字を入れなければならないので注意してください。
【U+01C3】感嘆符と同型の後部歯茎吸着音《ǃ》
日本の男性アイドルグループ【M!LK】のように感嘆符《!》をローマ字のアイ《I・i》の代わりに使用する固有名詞や令和3年の東京オリンピックにおけるコカ・コーラのキャッチフレーズ【チームコカコーラと一緒に応援しよう!】など感嘆符を含んだハッシュタグが公式のものがあります。
TBS系列の帯番組『ラヴィット!』におけるプレゼント企画で、ツイッター上での引用リツイートを含む書き込みでハッシュタグにキーワードを書き込むルールとなっていて、回によっては感嘆符《!》を含んだキーワードになっているのが重要です。
感嘆符は通常の方法ではハッシュタグにできないことから、代替表記として国際音声記号で使用される“後部歯茎吸着音”《ǃ》を使用する方法があります。
ユニコードではラテン文字拡張-Bにある“U+01C3”に配置されていて、国際音声記号への採用以前にナマ語など南アフリカの言語で拡張ラテン文字として採用されたことから、感嘆符と同型の後部歯茎吸着音は正当なラテン字母として認められています。
そのため、ユニコードの文字属性は“Lo [Letter, Other]”で、大文字・小文字共用になっています。
男性アイドルユニットのM!LKをハッシュタグにすれ場合、ツイッターのテキストボックスでM!LKの感嘆符を後部歯茎吸着音《ǃ》に置き換えて、左右に半角スペースを添え、ナンバー記号《#》の後に【MǃLK】と入力し、文字色が変化したらハッシュタグとなります。
先に述べたように『ラヴィット!』のプレゼント企画でも“感嘆符入りのハッシュタグ”が正解になっている回が結構あることから、ハッシュタグにできる感嘆符である後部歯茎吸着音《ǃ》は重要なものとなっています。
Hey!Say!JUMPを【HeyǃSɑyǃJUMP】、トロピカル~ジュ!プリキュアを【トロピカル~ジュǃプリキュア】など感嘆符を含んだ固有名詞にも応用できます。
令和3年12月ごろから韓国の男性アイドルユニット・東方神起の【TVXQǃ】やブラジルのドリンク【AbraUmaH2OHǃ】などの感嘆符を含むハッシュフラッグ=ツイッター絵文字が目立つようになったのですが、実際は後部歯茎吸着音ではなく“TVXQ!”や“AbraUmaH2OH!”と通常の感嘆符までの入力で絵文字が出るように設定されていることから、ツイッターでの仕様上、通常の感嘆符ではハッシュタグ化ができない状況で、後部歯茎吸着音を使用する方法で改善があってほしいです。
欧文句読点と同型のフレイザー文字声調記号《ꓸ ꓹ ꓼ ꓽ》
リス語で使用されるフレイザー文字は大文字のみを使用し、《ꓯ》や《ꓭ》など逆さローマ字を使用していることが有名で、ABBAを【ꓮꓭꓐꓮ】と本来の表示にするために必須な文字体系となっていて、ツイッター上で【ꓮꓭꓐꓮ】としてハッシュタグに使用できるのですが、AとBを通常のローマ字に置き換えた【AꓭBA】が多用される傾向です。
フレイザー文字では固有名詞はリス語の〈ꓡꓲ‐ꓢꓴ〉のようにハイフン《-》で音節をつなげて示すルールですが、文字扱いのハイフンはユニコードでは欧文ハイフン《‐》と統合され採用されなかったことから、ツイッター上でハイフンをハッシュタグに使用する方法が現時点で存在しないようです。
ユニコード未登録のフレイザー文字ハイフンの代わりに仮名文字長音記号《ー》の半角形を使用してハッシュタグにする裏ワザがありますが、ネット上における半角カタカナの使用はブラウザなどの環境によっては文字化けなどの不具合が起こるため、日本の総務省などではネット上における半角カタカナの使用は“非推奨”とされています。
フレイザー文字の声調記号は欧文の句読点類を借用したもので、ユニコードの文字属性では“Lm [Letter, Modifier]”で、文字扱いとなる記号に分類されていることからハッシュタグ対応となります。
U+A4F8 ミャティ MYA TI【ꓸ】[第1声調] - ピリオド《.》と同型。日本語や英語圏では小数点としても使用。(例: Mr.サンデー➡【Mrꓸサンデー】、Dr.スランプ➡【Drꓸスランプ】)
U+A4F9 ナポ NA PO【ꓹ】[第2声調] - カンマ《,》と同型。ヨーロッパでは小数点としても使用。(例: にこにこ,ぷん➡【にこにこꓹぷん】)
U+A4FA ミャチャ MYA CYA【ꓺ】[第3声調] - 欧文の2点リーダ《‥》と同型。3つで6点リーダ《……》となり、フレイザー文字の【ꓺꓺꓺ】に置き換えると欧文の6点リーダをハッシュタグ化でき、欧文の3点リーダ《…》はミャチャとミャティの組み合わせによる【ꓺꓸ】又は【ꓸꓺ】でハッシュタグ化できる。
U+A4FB ミャボ MYA BO【ꓻ】[第4声調]
U+A4FC ミャナ MYA NA【ꓼ】[第5声調] - セミコロン《;》と同型。日本語のネットスラングで涙の顔文字=アスキーアートとして多用。
U+A4FD ミャジュ MYA JEU【ꓽ】[第6声調] - コロン《:》と同型。男性芸人の【江頭2ꓽ50】さんのように時間を示す表記に用いる他に、英語などではコロンの後に作品名の副題が記載される。(例: デジモンアドベンチャー:➡【デジモンアドベンチャーꓽ】、BE:FIRST➡【BEꓽFIRST】)
ツイッター上でフレイザー文字ミャティを含んだハッシュタグを使用すれば映画『99.9』の本来のタイトルを再現した【映画99ꓸ9】のタグの生成が可能となります。
スペース調整文字―Spacing Modifier Letters―
いろいろな文字体系で補助記号として使用される特殊記号で、ほとんどはユニコードで“Lm [Letter, Modifier]”として文字扱いされることから、ツイッター上でハッシュタグ対応となります。
アポストロフィ《'》の本来の形状であるアポストロフ《ʼ》は国際音声記号の放出音を示す補助記号や日本語ヘボン式ローマ字で“ンヨウ”を示すときの分離符〈nʼyō〉、ウクライナ語やベラルーシ語などキリル文字の硬音符《Ъ・ъ》が存在しない、あるいは硬音符が母音字となっているブルガリア語で同等の役割を持つ分離符(ウクライナ語・ブルガリア語では〈нʼйо〉, ベラルーシ語では〈нʼё〉)、アッサム文字の母音字オ《অʼ / ◌ʼ》[o オ]、フレイザー文字の鼻母音記号《ꓮʼ / ◌ʼ》[ɑ̃ アン]などに使用されることからツイッター上でハッシュタグとなります。
ユニコードコンソーシアムでの公式定義では、英語の《's》や西暦下2桁省略の《'21》などに用いるアポストロフィは右シングル引用符《’》が正しいとされているのですが、引用符であることからハッシュタグとして使用できないため、アポストロフを使用した【ʼs】や【ʼ21】に置き換える必要があります (例: μ's➡【μʼs】、B'z➡【Bʼz】)。
U+02B9 プライム PRIME【ʹ】[分・フィート] - ダッシュ《′》と同型。(例: 邪神ちゃんドロップキック′➡【邪神ちゃんドロップキックʹ】)
U+02BA ダブルプライム DOUBLE PRIME【ʺ】[秒・インチ] - ダブルプライム《″》と同型。
U+02BB オキナ TURNED COMMA【ʻ】[有気音] - 左シングル引用符《‘》と同型。ウズベク語の発音変化記号やハワイ語の声門閉鎖音などに用いられる。(例: 'Ohana➡【ʻOhana】)
U+02BC アポストロフ APOSTROPHE【ʼ】[放出音・声門閉鎖音] - 右シングル引用符《’》と同型。(例: L'Arc~en~Ciel➡【LʼArc〜en〜Ciel】)
オキナとアポストロフの組み合わせで引用符《“ ”》の代替である【ʻʻ ʼʼ】が表記できます。(例: とある“ラジオ”の禁書目録➡【とあるʻʻラジオʼʼの禁書目録】)
ヘブライ文字ではゲレッシュ《׳》という子音字の発音を変化させる補助記号があり、日本語の“絵文字”の借用語は【אמוג׳י】のように綴り、ツイッターのハッシュタグに対応できるのですが、ヘブライ語版ウィキペディアなどでゲレッシュの代わりにアポストロフィ《'》が使用される傾向があり、右横書きのヘブライ文字と欧文などの左横書きとの交ぜ書きでは、ヘブライ文の配置がおかしくなる不具合が起こりやすいことから、本来のゲレッシュ表記がツイッターのハッシュタグ機能を通じて広まってほしいです。
ツイッターでハッシュタグにできない句読点・記号
ツイッターでは、句点《。》や読点《、》, 疑問符《?》やハイフン《-》, 丸括弧《( )》, アンパサンド《&》, アットマーク《@》など現時点ではハッシュタグにならない状況です。
アンパサンド《&》はイヌイット語ローマ字表記でカナダ音節文字LH《ᖦ》に対応する字母で、小文字はアンパサンド筆記体由来の《ɫ》又は《ɬ》に似た字形が用いられます。カナダ音節文字に対応するローマ字表記で【&i《ᖠ》[ɬi シ], &u《ᖢ》[ɬu ス], &a《ᖤ》[ɬa サ]】のように示されます。
アンパサンドは本来、“~と…”の意味のラテン語〈et〉[エト]が変化した合字ですが、ユニコードの文字属性では“Po [Punctuation, Other]”と句読点扱いとなっていることが、アンパサンドをハッシュタグにすることが不可能な最大の理由です。
アンパサンドは固有名詞に多用されるラテン字母、且つ19世紀頃まで英語の第27字母であったことから、属性を本来の文字扱いである“Lo [Letter, Other]”に修正する要望がユニコードコンソーシアムに通れば、アンパサンドのハッシュタグ対応に近づきそうです。
アットマーク《@》はコアリブ語ラテン文字でアラビア語からの借用語を示すために用いられ、近年はポルトガル語やスペイン語などロマンス諸語で性別を問わない中性形を示す名詞・形容詞・動詞を示す拡張字母として用いられる傾向があります。
ユニコードコンソーシアムでは文字扱いのアットマークの大文字・小文字の追加申請があり、ユニコードへの採用が実現できればツイッターのハッシュタグでアットマークが使用可能になると想定されます。