タイ系文字における英語からの外来語表記で無音になる箇所の表記
1月16日はアメリカの記念日で【National Nothing Day】という“何も無い”あるいは“何もしない”ことに関する記念日となっています。
英語ラテン文字では長母音・二重母音を示すために母音字とイー《E・e》の間に子音字を挟んで示す方式を始め、ナ行の〈KN〉やラ行の〈WR〉などの先頭の子音字が無音化する連字が見られます。
タイ文字は英語由来の借用語であることを示すためにカラン記号《อ์》を付加し、同系統のラオ文字もキャンセレーション・マーク《ອ໌》が存在します。
今回はタイ系文字における英語の無音化母音借用語表記について取り上げます。
母音一例
タイ文字・ラオ文字におけるカラン記号付加の一例です。
アメリカ英語でR化する母音
末尾にR《ร์》が付く母音です。
AR[ɑː―ɑ˞ː アー]【อาร์ / ອາຣ໌】[aː アー]
ER・IR・UR・YR・RE[əː―ɚː アー]【เออร์ / ເອີຣ໌】[əː ウー]
OR[ɔː―ɔ˞ː オー]【ออร์ / ອອຣ໌】[ɔː アー]
ARE・AIR・ERE[ɛə―ɛɚ エア]【แอร์ / ແອຣ໌】[ɛː エー]
ERE・EAR[ɪə―ɪɚ イア]【เอียร์ / ເອັຍຣ໌】[iə イア]
IER・IRE[aɪə―aɪɚ アイア]【ไอร์ / ໄອຣ໌】[aj アイ]
ORE・OOR・OAR[ɔː―ɔ˞ː~ɔɚ オーまたはオア]【อ็อร์ / ອັອຣ໌】[ɔː オー]
URE・OORE・OOR[ʊə―ʊɚ ウア]【อัวร์ / ອັວຣ໌】[uə ウア]
URE[jʊə―jʊɚユア]【เอียวร์ / ເອັຍາຣ໌】[iəw イアオ]
重母音
本来のラテン文字の綴りでY《ย์》及びW《ว์》が付加される重母音です。
但し、EW[juː ユー]《อิว・ອິວ》[iw イウ]などタイ系文字本来の組み合わせはカラン記号は使わないルールです。
AY・AYE・EY[eɪ エイ]【เอย์ / ເອຍ໌】[eː エー]
AY・EYE[aɪ アイ]【ไอย์ / ໄອຍ໌】[aj アイ]
EY[iː イー]【อีย์ / ອີຍ໌】[iː イー]
AW[ɔː オー]【ออว์ / ອອວ໌】[ɔː オー]
EW[uː ウー]【อูว์ / ອູວ໌】[uː ウー]
OW[aʊ アウ]【เอาว์ / ເອົາວ໌】[aw アオ]
OW[uː ウー]【อูว์ / ອູວ໌】[uː ウー]
OW・EW[əʊ―oʊ オウ]【โอว์ / ໂອວ໌】[oː オー]
子音の例
声調はタイ語の場合です。
X系
AX・ACS[æks アックス]【แอกซ์ / ແອກຊ໌】[ɛ̀ːk エーク]
EX・ECS[ɛks エックス]【เอ็กซ์ / ເອັກຊ໌】[èk エック]
EX・ECS[ɛks エックス]【เอกซ์ / ເອກຊ໌】[èːk エーク]
IX・ICS[ɪks イックス]【อิกซ์ / ອິກຊ໌】[ìk イック]
OX・OCS[ɒks オックス | ɑks アックス]【อ็อกซ์ / ອັອກຊ໌】[ɔ̀k オック]
OX・OCS[ɒks オックス | ɑks アックス]【ออกซ์ / ອອກຊ໌】[ɔ̀ːk オーク]
UX・UCS[ʌks アクス]【อักซ์ / ອັກຊ໌】[àk アック]
二重母音+子音
ITE・IGHT[aɪt アイト]【ไอต์ / ໄອດ໌】[aj アイ]
INE[aɪt アイン]【ไอน์ / ໄອນ໌】[aj アイ]
OWN[aʊ アウン]【อาวน์ / ອາວນ໌】[aːw アーウ]
複数形
-LS【-ลส์ / -ລສ໌】[-n ン]
-NS【-นส์ / -ນສ໌】[-n ン]
その他の重子音
-ANK[æŋk アンク]【-แองค์ / -ແອງຄ໌】[ɛːŋ エーン]
-AND[ænd アンド]【-แอนด์ / -ແອນດ໌】[ɛːn エーン]
-AMP[æmp アンプ]【-แอมป์ / -ແອມປ໌】[ɛːm エーム]