マ社長の星屑レビュー☆第27回「エコーズ・オブ・ジャパン/民謡クルセイダーズ」
2018年、明けましておめでとうございます&今年もよろしくお願いいたします。
というわけで、新年一発目に何を書こうかと思ってパソコンを眺めていたら、まあ無い。聴きたいもの見当たらないです。なんだか時代に取り残されているような気分にもなったのですが、本厄やしまあえっか。ということで、新年早々時代を憂うような気持ちにはならず、のんきに探してみました。そこで見つけたのがこちら、「民謡クルセイダーズ」さんです。名前からなんとなくの想像はつくものの、この大編成のコミュニティー。ヒッピー感漂うネーミングと素敵な使命感。今月はこのアルバムを聴いていきたいと思います。
まずはザ・フォーク・クルセダーズ(クルセイダースとも呼びますが)からビート・クルセイダースの流れもあり、「Crusaders」の読み方も違うやんという話もあるんですが、父親が京都でフォークル世代でよく口ずさんでいたりしたもので、フォークルは好きでした。
「Crusader」ってなんやねんといいますと、スペイン語で「十字架をつけた集団」という意味を持つ言葉で、つまり十字軍。同義の英語クルセイド(Crusade)より転じて「社会活動家」を意味する言葉らしいです。つまり、フォークやビートや民謡を邪悪なものから守り、広める活動をしている人たちという意味ですね。非常にわかりやすいです。というわけで、民謡クルセイダーズのプロフィールサーチ!
民謡クルセイダーズ=MINYO CRUSADERS=
かつて戦後間もない頃、偉大なる先達…東京キューバンボーイズやノーチェクバーナが大志を抱き試みた日本民謡とラテンリズム融合を、21世紀再び再生させる「民謡クルセイダーズ」。東京西部、横田基地のある街、福生在住で米軍ハウス「バナナハウス」主のギタリスト田中克海が、モノホンの民謡歌手フレディ塚本と近所の某酒場で意気投合したことをきっかけに、2012年福生周辺の辺境音楽好きが集まり結成。70年代以降には福生でよく見られたハウスセッションを続けながら現在に至る。
というプロフィールが見つかりました。
個人的に出た!福生!村上龍好きには親しみのある街、福生!
しかしながら東京に出てくるまで「ふっさ」じゃなくて「ふっき」と呼んでいた街、福生!米軍文化のある街でこんなバンドが生まれるのはとても面白いです。
みなさん楽しそうな大人なんだろうなと勝手に妄想しております。
こんなティーザー映像というか、アルバム曲ちょっとずつ音源あがってましたので、
これ聴いてもらったらどんなバンドかは早わかりです。
というわけで、勝手に聴いていきたいと思います。
まずは1曲目「串本節」。こちらは和歌山県の民謡みたいです。
いきなりのベースイントロ。低音効いたレゲエな雰囲気からブラスセクションとラテンなパーカッションでなんだかベトナムとかカンボジアのオリエンタル感が出ています。その上に入ってきました、ほんまもんの民謡歌唱。いいですね。大人数歌唱も気持ちいいです。どこの民謡かをわかって聞くと歌詞の内容も入ってきていいですね。
ブラスとシンセの合いの手で海辺の町での漁仕事が楽しく行われていたように感じます。しかし音がなんだか最高にいい意味で外国。イギリスの発掘レーベルのCD聴いてるみたいでかっこいいです。
2曲目は「ホーハイ節」。青森県は津軽地方の民謡みたいです。なんでカタカナやねんとも思いますが、こちらはチャーミングなシンセのイントロからチンドン的パーカッションと大人のギターカッティング、やっぱ低音効いたベースが南国感を演出してくれます。津軽民謡をこんなアレンジで聴くと、元は知らないんですが
寒い国だからこその熱い思いみたいなもんがあったのかなと勝手に想像してしまいます。しかし、普通にこの歌かっこいいです。「ホーハイ」と歌う節がブルースアレンジの曲と相まってこんな文化が日本にあったのかとちょっと嬉しくなりました。詳しくみてみると日本の民謡の中でも異色らしく「ホーハイ ホーハイ」を歌うとき、「ホー」で息を吸い「ハイ」で息を吐く発声のため「ホー」の部分が裏声になり、日本の民謡では珍しいヨーデル唱法になっているらしいです。いや、これ凄いです。
3曲目「おてもやん」。熊本民謡の代表格らしいです。「おてもやん」って聴き馴染みはあるのですが、民謡だったんですね。「おても」が歌詞に登場する女性の名前で、「やん」は「さん」という意味だそうです。こちらはヴィンテージ打ち込みリズムで入ってきました、いいですね。ギターも裏打ちでスペーシーなシンセと合間って熊本民謡の代表格に殴り込みをかけている感じがします。こちらは女性が歌うんですね。1、2曲目の街の生活の唄から、いきなり色恋の唄が挟まってきたのが素敵です。って聴いてたら、やっぱ知ってますね、この唄。さすが、おてもやん。
4曲目「真室川音頭」。山形県最北部に位置する真室川町の民謡らしいです。
こちらはキューバの海を彷彿とさせるパーカッションから始まります。ことごとくイメージを掻っ攫っていってくれます。しかしながら民謡に色気が増されるというか、時代背景とか地方の事情よりも登場人物に感情移入できる感覚があっていいです。
ペットのソロがかっこいい。民謡っていろんなアレンジが存在しますが、この曲を聴いていると日本独自の踊りという文化を新しい形で継承されているような気分になるので、街に根付けばいいのにと思います。
5曲目「安来節」。島根県安来市の民謡、「どじょう踊り」という滑稽なおどりを含み、総合的な民俗芸能として、大正期を中心に全国的人気を博したというこの曲、もちろん知っています。とぶくすり流れの「やす〜ぎ〜」というあれ。と思ったら、ここまでで一番メロウなイントロで女性が歌っておられます。セリフもあってセクシーですね。またもや自分のイメージと違うもんでウィキペディア読んだらいろんな歴史がありました。踊りは付き物として男踊りと女踊りがあるみたいです。いやあ、知ったかぶりも多いもんですね。こちらも東南アジアを感じるアレンジで素敵でした。
6曲目「秋田荷方節」。こちらはそのままですが秋田県下で、かつて芸人達がステージで歌ってきた名曲の一つらしいです。基本三味線に乗せて歌われるものらしいですが、ファンキーなギターに乗っかって歌われています。関係ない?いやあるんですが三味線奏者の方のプレイもあってこちらも面白かったので乗っけておきます。
津軽流れのアタックの強い奏法っぽいですが、最近で言えばアフリカのデザートブルースにも通ずるものがあるなと思って興味深かったです。
そう思って「民謡クルセイダーズ」の音源に戻って聴いてみるとやっぱり砂漠を感じてしまいます。シンプルな曲調なもんで普通にやろうと思ってもバンドの技量と唄力が絶対必要なんですが、めっちゃかっこいいです。
7曲目「といちん節」。こちらは富山の民謡らしいです。「といちんさ節」ってのもあるみたいですが、よくわかんないです。こちらはアフロミュージック調なんですが、曲によってのブラスのアプローチが明確に分かれていて、大陸が違う感じが面白いです。あとドラムセットがないから強制するものがなくていろんなパーカッションとベース、ギターでリズムが作られているのに自由を感じます。
8曲目「炭坑節」。こちらは福岡県の民謡みたいです。名前は知ってるんですが、どんな曲なのかはわかりません。またも海辺のラテンな感じに帰ってきたぞと思ったら、「月が出た出た〜月が出た」のお唄でした。炭鉱の唄をこんなに陽気にってのが凄い。ってかもともと陽気か。ごっつええ感じの「よっ!ご陽気もの」を思い出す感じです。月が出たということをこれだけセレブレイトしている雰囲気を出すのは凄いです。ちょっと感動。
9曲目「会津磐梯山」。こちらはご存知福島県会津地域に伝えられる民謡ですね。これは知ってる。と思ったらまた全然イメージと違う。でも唄が入ったら合う!なんだかこれの繰り返しです。最近では「孤独のグルメ」で井の頭五郎が口ずさんでいたのが記憶に新しいんですが、五郎さんとは違うベクトルで破壊力がすごいです。
こちらはライブ映像がありましたので、ぜひご覧になってください。
お唄の方のインパクト半端なかったです。
MINYO CRUSADERS / 民謡クルセイダーズ LIVE at MORE "AIZU BANDAISAN / 会津磐梯山”
ラスト10曲目「相撲甚句」。こちらは大相撲の巡業などで披露される七五調の囃子歌らしいです。知ってるのかもしれませんが、全くもってビビッとこないところが日本人として申し訳ないここ数時間です。こちらは独唱で始まりました。相変わらず知っている感が出てこないんですが、力士の方が唄うものみたいですね。そりゃ昔はよく歌番組にお相撲さん出てたわと思いました。
って聴いてたら、「今日は遊びに来てくださってありがとうございました、また会える日を楽しみにしております」という唄で、このアルバムを聴いてくださってありがとうという意味での最後の曲、独唱でございました。
いやぁ、かっこよかった。新年からなんかええもん聴けた感がありました。
皆様もご出身の国の唄でなくとも聴いてみたら民謡の意識が変わるかもですよ。
おすすめでございます。
(マ)
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