マ社長の星屑レビュー☆第20回「ベビー誕生!/フレンズ」
さて、今回も何を聴こうやらとiTunes開けましたら一番上のところにやたらふざけたジャケットと「ベビー誕生!」っていう、そら産まれるのはベビーで、大人は産まれへんわな、という突っ込みたくなる感満載のアルバムがありまして、見てみたら知ってるこのバンドで、レディオクレイジーでサンプルももらってたっけという後ろめたさとともに、今回はこのフレンズさんのアルバムを聴くことに決めました。まず、メンバーのプロフィールをホームページそんままでご紹介すると、
2015年6月におかもとえみ(Vo / 科楽特奏隊)、ひろせひろせ(Key / nicoten)、長島涼平(B / FINAL FRASH、the telephones)、三浦太郎(G / ex. HOLIDAYS OF SEVENTEEN)、SEKIGUCHI LOUIE(Dr / ex. The Mirraz)の5人で結成された“神泉系”バンド。です。
それぞれにバンドを経てきた皆さんが新たに組んだバンドですね。the telephonesの涼平くんはこれやってて、他のtelephonesのメンバーも「lovefilm」ってバンドやってたりするから若干ややこしいですが、こちらは「THE ラブ人間」でベース弾いてたえみそんがボーカルのバンドでございます。よけややこしいか。でも、それぞれのバンドで酸いも甘いもを味わって、このメンバーで一から始めようという行動力とモチベーションはすごいなと思いまして、リスペクトを込めて聴いていきたいと思います。しかしながら、神泉系ってなんやねんという疑問は残りますが、練習スタジジオが神泉にあったのかなということで、これ以上触れずに置いておきます。
さて、1曲目「ビビビ」。「ベビー誕生!」の1曲目が「ビビビ」。バ行が多い。というわけで、YouTubeあったので載っけときます。
まず始まって意外だったのがめっちゃ大人じゃないか。バンドイン前のティンパニが憎いねと思いつつ、R&Bを基調にしためっちゃしっかししたJ-Pop。シティーポップって言った方がいいんですかね。なんか神泉系って言ってる意味がほんの少しだけわかった気がします。30代からの渋谷系って感じなんですかね。適当ですんませんですが、なんか勝手にそう思いました。あとみんなが歌ってるのもグッドですね。
2曲目。「シンデレラガール」。最近の若いバンドみたく、やたらめったら音数を埋めるんじゃない、シンプルなリズムがいいですね。ちゃんとドラムとベースでリズム隊な感じがします。それにしてもえみそんはこんな大人っぽい歌を歌う人やったんですね。何度か飲んだことはあるけど、ベビーフェイスなだけにこんな歌を歌う人やとは全く想像していなかったです。なんだかボニピン姉さんを思い出すのですが、90年代の「Heaven's Kitchen」なんかのボニピン姉さんを渋谷系とするならば、「A Perfect Sky」以降が神泉系なんかなとまだやっぱり神泉系を引っ張ってしまうなうです。
3曲目「Wake Up BABY」。ベースと歌から始まる趣の違う1曲。ロック寄りなんですが、シンセ、ストリングスの使い方なんかが古き良き80年代のアメリカ&アイドルソングを彷彿させつつ、でも成り立ちがめっちゃバンドサウンドやから不思議な一曲。ドラムのミックスが大きいのか。でもやっぱりポップやなと思うのは、毎曲しっかりしたサビがあるからな気がします。
4曲目「DON'T STOP」。こちらはR&Bに振った曲で、エレピとチェロとシンプルなリズムで歌を聴かす、ってもうディーバじゃねえか。歌だけのブレイクからの大仰なバンドインもすごかったんですが、米米クラブの最初の方のアルバムの最後の曲みたいでええ歌です。それにしても日本人が好きそうなメロディーを歌うってことがコンセプトにありそうなバンドだなとこの時点で思いました。酸いも甘いもを経てそういう歌もんをやりたくなるのか、ただみんなの趣味があったのか、興味深いです。
5曲目「夜明けのメモリー」。こちらもYouTubeありました。
こちらはまたシティーポップ路線に帰ってまいりました。キックとベースの音が生々しくていいなと思いながら聴いていたら、一瞬だけ男性ボーカルがオートチューンサウンドになるのにキャっとしました。さっきの曲のコーラスにも一瞬あったんですが、そんな耳で聴いてへんからビクッとなります。って言ってたらラップパートがあるんやと思ったら進行がすごい。でも楽しく作っている感じがしていいなと思います。
6曲目「Thema」。メロトロンが印象的なイントロからのきました、王道J-POPストリングス。このタイトルだから言うんじゃないんですけど、全体の歌詞のテーマがめっちゃ大人だなと思います。らららのパートがあったりするのもなんだかすごく考えて作り込まれている感があって、しっかり作ってはるなと思いつつ、よく考えたら最近の若い子らは「シャワーを浴びてコロンをたたく歌」とか、「盗んだバイクで走りだす歌」とかは聞かへんなという結論に達しまして、大人っぽいのもそりゃそうかと納得しました。
7曲目「塩と砂糖」。こちらもYouTubeありました。
中学1年の名簿の並びが私「佐藤」の次が「塩島」くんだったのを思い出す一曲。すんません、全く関係ないですが、音量突っ込んでるな〜。こちらも80年代後半の王道J-POPな感じがします。と思ったら岡村ちゃんみたいな男性ボーカルも入ってきて、なんだか渡辺美里のアルバムを聴いてる気分になったところで、全ユニゾンからのラップパートが何か、誰かをディスってるように聞こえるのは自分が歳だからか。なんだか全部がそんな時代のメドレーを聴いてる気分になれる一曲。
8曲目「元気 D.C.T〜プロローグ〜」。三拍子のベースイントロに小芝居で始まる曲。プロローグということは、この小芝居の登場人物が新しいリリースごとに成長していくのでしょう、と思ったら台詞ブレイクからのメタルパート。また三拍子に戻るんですが、やっぱ大人で少し真面目な曲をやっているとストレスが溜まって、こういう曲がやりたくなるでしょうか。内容は本気で置いておいて、言ってみれば「アナ雪」的ミュージカルソングな訳なのですが、やっぱりいろんなもんをディスっている気がするのは自分の」年齢のせいでしょうか。
9曲目「そんなかんじ」。最後の曲になりました。男性ラップボーカルメインの曲がやってまいりました。なんだか年相応な曲で安心する感じがします。8曲目に象徴されるもんじゃないんですが、なんだかんだで何かを曲毎に演じているような感じがあって、はい、お疲れ様でした的な素直な一曲に聞こえます。
しかしながら9曲入りとはいえ、情報量がすごいアルバムだなと思いました。途中から全部をクソ真面目にふざけてやっているのか、ただ真面目にもやっているのかわからなくなりましたが、明確なコンセプトはわからないけど、レキシを聴いてたら楽しいみたいな感覚で聴けばいいのかなと最終的に自分はそう思いました。結果、神泉系はどうでもよかった。アルバムを聴いて謎が深まるばかりのバンドでしたが、どうなっていくのか楽しみにしてたいと思います。
(マ)
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