マ社長の星屑レビュー☆第12回 Summer 08/Metronome
今回はそういえば先日ラジオで新作を聴いたなということで、Metronomyの「Summer 08」を聴いてみたいと思います。ちなみに「サマー・オー・エイト」って読む模様です。
Metronomeはロンドン出身の4人組バンドで、今作で5枚目のオリジナルアルバムなのですが、正直バンドだったと前作の「Love Letters 」というアルバムで知りました。3枚目は聴いていないのですが、それまではインスト物が多かったり、打ち込みメインだったりして、一人のアーティストによるエレクトロなプロジェクトだと思っていたんですね、はい。すみません。しかしながら、そんなアルバムごとに趣を大胆に変えてくるその姿勢が好きで、今作はどんな音楽なのだろうと楽しみにしております。
ちなみに前作のリード曲がこんな感じです。
Metronomy - Love Letters (Official Video)
ABBAかと見紛うこのドラムコーラスと70年代トリビュート間の中にもしっかりとシンセ好きが垣間見られるところが素敵です。
8年前の2枚目のアルバムの曲がこんな感じです。
Metronomy - Heartbreaker (Music Video)
こう見るとちゃんと当時から現在にも通じるバンド感がしっかりとありますね。思い込みってダメですね。でも、なんか絶対性格変わっている感じはしますね。
そして今作の1曲目がこちらでございます。
今までよりもヘビーに感じますが、プリンス色が強くなってきていますね。パーカッションにもはまっている模様です。しかし、ギター、ベースだけのコード感と違う、シンセを使ったメトロノミーらしさは健在で、なんだか哀愁を感じます。そして後半の展開で前作とダフトパンクを足したようなハッピーモードになるところが高得点です。
2曲目はコーラスがかかった特徴的なベースで、まさに米米クラブのような曲が始まりました。このバンドのベーシストが黒人さんなんですが、ピック弾きで、ザ鉄弦って音を出されるので好きです。ローが全然なくて、アタックとフレーズを聴かせるベースで、ローはシンセで補われていると思います。あと、やっぱシンセが単音だとふざけた音色なんでしょうが、やっぱり哀愁を感じます。
3曲目もオフィシャルビデオがあったので、暇な方は見てみてください。
Metronomy - Old Skool (Official Video)
打ち込みで始まる曲なんですが、サビの歌詞がいいですね。ちゃんとは聞き取れないですが、「あなたも私も友達と仲良くパーテーをして、西へ行こう。あなたの新しい友達とパーティーをして、するため?金を稼ごう、大金を稼ごう」的なことを歌ってはります。言葉の意味はわかりませんが、とにかくすごい自信を感じます。途中からキューブリックの映画みたいな全く無関係なダークなシンセが入ってきて超怖いのですが、スクラッチノイズがそれ自体を馬鹿にするように入ってくるので救われます。
4曲目はタイトルがいいです「16 Beat」ってタイトルで、きっちり16で刻むハイハットのビートから始まります。ほぼほぼこれもベースも含め打ち込みなんですが、かっこいいですね。「my sweet 16 beet」って歌ってるのが素敵です。しかしながら、相変わらず複雑な感情と言いますか、単純な「楽しい」とか「苦しい」とか一種類じゃなくていろんなものが絡み合わさったような感情を覚える曲ばっかりだなと思います。深いですよ、なかなか。中心人物で歌っているのがジョセフ・マウントっていう人なんですが、変な人なんやろなと思うなうです。
続きまして、「Hang Me Out To Dry (with Robyn)」って曲なんですが、ツイン・ピークスを思わせるイントロから、多分「ロビン」って名前の女性、明るめ、ちょいソウルなウィルソン&フィリップスを思わせるボーカルに続いて、ジョセフ君の暗い歌が繰り返すというなんともストーリーがありそうな曲なんですが、意味はよくわかりません。レディオヘッドの「high&dry」へのアンサーソングなのでしょうか。嘘です。ってか、ロビンって誰だ。
6曲目はテンポの遅いこれまた打ち込みにおそらくシンベなんですが、一番ダークな印象がします。ってかいたらいきなりファルセットのハイトーンなボーカルになって、光が見えました。タイトルが「Mick Slow」なんですが、ミックさんの動きが遅かったんですかね。後半「I know you」ってなんどもつぶやいているのですが、なんだかやっぱ怖い曲です。
7曲目にしてちょっとだけバンド感が戻ってきました。しかしながらまだ深海を彷徨っているような感覚です。多分色々あったんでしょうね。明るくなってアルバムが終わることを期待します。前半ではグニャっとした感覚のために使われていたシンセの役割がボーカルに変わり、最後の方では逆にシンセが現実感を取り戻させてくれるという、変化がありました。
8曲目、長いフェードインの長いシンセだけのイントロの後に完璧にバンドが帰ってきました。なんだやっと深海から上がって息ができた感覚です。
タイトルは「Night Owl」ですが、朝になる直前の清々しさを感じます。
9曲目「Love's Not an Obstacle」「愛は障害ではありません」というなんだか決意表明にも感じるラス前。キラキラしたギターも帰ってきたのですが、全編ファルセットでそんなに盛り上がりを見せない中、フェードアウトが始まり、終わるのかと思いきやフェードアウトの最中にまた歌が始まり、歌と一緒にフェードアウトして終わるという衝撃のラストです。
最後は「Summer Jam」という曲なんですが、インストかと思いきや終盤に「for your love for your smile」というコーラスが入ってそんまま終わるという、まさに夏の残り香みたいな曲でアルバムが終了いたしました。
このアルバムがどういうコンセプトで作られたのかは知りませんが、10曲を通して人の人生を見ているような作品でした。そして「Metronomy」というバンドが大好きなんですが、ますますわからなくなりましたので、こんなライブしてんだという初めて見たレディングフェスティバルの映像を乗っけて終わりたいと思います。改めて、変なアルバムって印象でしたが、彼らにしか出せない世界観は健在でございました。
Metronomy - Reading Festival 2014
(マ)
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