見出し画像

近況と雑感

京都音楽博覧会を前に、京都ネタ。

京都市、財政難(今に始まったことではないが)。かなり大変そう。色んな理由があるので、検索してもらえればわかると思いますが、いよいよ色々ヤバいんだろうな、と個人的には思います。

京都市、人口減少。これも、色んな理由と事情があり、どこの自治体でもだいたい人口減ってますが、京都市の場合はかなり特殊な事情で不健全に減っているので、これも色々ヤバいのかも知れません。

京都市は2007年に制定された「新景観政策」によって、建物の高さ規制がかなり厳しくなりました。それまで15階建てのマンションを建てられた地域。ある日を境に、急に「11階までな!」てことになったわけです。

15階建てのマンション、建て替えるなら11階建まで、ということです。4階ぶんの人たち、極端なはなし、住むところ追われますよね。

「古都の景観を守ろう」が、私の小さい頃から(色んな立場の人たちによって)叫ばれてきたマニフェストのようなものでした。市民のなかで本気でそんなこと思っている人はあまりいないような気もしますが、景観条例によって守られたものも失われたものも、それぞれあります。

ちなみに仙台市や福岡市は都市景観レベチで美しいです。都市計画がキッチリしているのでしょう。京都市はブランドに甘え過ぎているきらいがあります。

ヨーロッパの街はどこも素晴らしいです。ウィーン市は、市内中心部はほぼ完全に博物館ばりの景観保全地区。周辺は南側を中心にガンガン開発されています。かなりキッチリ用途地域を細かく設定しています。

勿論、京都市においても歴史的建造物や史跡の近くでは、いわゆる観光地っぽい景観は守られています。そういった場所は確かに「美しい景観」が守られています。電線も無いし。

古都の景観を守るために行われた独自の政策は色々ありますが、とにかくいちばん影響デカいのが「建物の高さ規制」です。コレ、私はずっと害悪だと思っています。

景観を守るための高さ規制、などという本来偏見に満ちた土地の値踏みは、どうせやるなら本当にエビデンスに従わなくてはならないはずです。

京都市域は実は相当広いです。しかしその殆どが山です。市街化調整区域が殆どなのです。ちなみに山を切り崩すような酷いことは、京都の人はあまり好まないようで、扇状地である狭い京都盆地(と山科盆地)に市街地は密集し、なんと145万人もの人が住んでいます。実に恐ろしい人口密度であります。密です。

16世紀に行われた豊臣秀吉による都市改造以来の街並みですから、区画も道路もコンパクト、当時は人口せいぜい30万人くらいだったのではないでしょうか。お土居の外側が開発されたとは言え、古い構造の小さな都市に145万人詰め込まれているわけです。そこに景観を守るための高さ規制です。

選ばれた人しか住めない、みたいな排他性を作っているのは、京都人そのものではありません。都市計画の杜撰さなのです。

地下鉄東西線作った、建設費えらいことなった、人乗ってない、赤字すごい、減便、というニュースを何度も見ました。ヤフコメとかで何も知らない人たちは決まって、こういった文句を言います。

「古都京都に地下鉄は似合わない」

いやいや、145万都市ですから、地下鉄似合わなかろうが必要ですって。ただ、都市計画があまりにも杜撰すぎるので、地下鉄がそのポテンシャルを使えていないだけなのです。

大量輸送機関である地下鉄を作ったからには、沿線を持続的に発展させていかなくてはならない。しかし建物の高さ規制があるので、タワマンも建てられない。人口は増えない。大学や工場も建てられない。学生も流出、雇用も消失。

そんな中、ようやく新景観政策大幅見直しの報。山科区の東西線沿線(と新十条通り)は高さ規制撤廃とのこと。あと、阪急沿線(西院〜西京極あたり)も高さ規制緩和とのこと。

他にも、向日町駅東側や上鳥羽口駅付近(それぞれ日本電産と任天堂の新社屋など開発が予定されている)、京都駅南側など多くの地域で高さと容積率の規制緩和とのこと。

やっと現実的な都市計画を実現の方向に向けて動き出してくれました京都市。

電線や電柱、狭小でごちゃごちゃした街並み、ボッコボコの道路舗装がデフォ、そもそも美しい景観からは程遠い気がする京都市内中心部。別に美しくなくても、街に人が住んで活気があれば街輝くやん、て思えたのは、新景観政策導入前、人口増によるかつての賑わい。ホテルや謎の箱物、古くなった空き家だらけの今よりは随分マシでしょう。少しくらい高い建物が建ったとしても。

都市は人が居てこそ都市だと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?