マ社長の星屑レビュー☆第18回「アモーレ/ジョンB&ザ・ドーナッツ!」
何を書こうかと1月の頭にiTunesを見ていたところ、書きたいものがなくて一月飛ばしました、すんません。
ほんでもって月末に書かなきゃなと改めて開いて見ましたところ、テレサ・テンのシングルコレクションが出ているじゃないですか。これは欲しいなと思ったら1万3千円!高い。なんぼなんでもこのご時世に高い。
59曲入りとはいえ、データにそんな大金を払いたくないのでパスしまして、他にもめぼしいものが出ているんですが、なんだか勝手に書いてたら怒られそうな雰囲気があるもんですから、今回は久しぶりにお会いして、「こんなバンドやってんねん」と紹介されてポチッとした、「ジョンB&ザ・ドーナッツ!」の「アモーレ」というアルバムを書かせていただきたいと思います。
まず、久しぶりにお会いしたのはウルフルズのベーシストでもあるジョンBさんで、ウルフルズの無期限活動休止をきっかけに「ジョンB & ザ・ドーナッツ!」を始められたみたいです。全然存じ上げてなくてすんません。
バンドはジョンBさん(Vo,Gt,)、菅原龍平さん(Gt,Cho)、 真城めぐみさん(Cho,Per)、中森泰弘さん(Gt,Cho)というメンバーで、ましまろ、ヒックスヴィルのお二人と、the autumn stoneの菅原さんという、異色なようで安心感の塊みたいなバンドだなと思いました。また、ジョンBさんは何気に自分の尊敬するベーシストなのですが、プロフィールに(Ba)と書かれていないところもなんだか愛おしいです。弾いたはるとは思うのですが。
そんなわけで「ジョンB & ザ・ドーナッツ!」の3枚目のアルバム「アモーレ」を聴いていきたいと思います。
まず映像があるのかと思ってググりましたらございまして、過去曲のMVをとりあえず見てもらいたいと思います。
この曲に自分の大好きなジョンBさんという人の8割が詰まっています。音楽的なことではなく人です。
昔お話してる時に「俺に音楽の話しようと思っても無理やで」と仰ったのが印象的だったんですが、ベーシストという地味な職業を卑屈になることなく自然に受け入れている人で、言葉じゃなくて音と佇まいで表現されているところが最高に素敵だなと思います。あとでこれもポチろっと。
年齢的なこともあるのかわからないですけど、すごい自然に入ってくる感じが好きで、頭でっかち感がなく、関西人だからこそってのはあるかもしれませんが、こんな音楽が溢れてたら幸せだろうなと感じる今日この頃です。というわけで、前置きが長くなりましたが「アモーレ」を聴いていきたいと思います。
1曲目。「北くんと南ちゃん」。こちらも映像ありました。
この映像を見てもらったらどんな人がどんな声で歌っておられるのかが一目瞭然です。
なんちゅう日に撮影やねんと思いますが、当たり日だったのですね。4人の声がそれぞれ気持ちいいです。
曲的にはテンポ80弱という遅いロック!こんなテンポでやってるバンド最近くるりくらいしかいませんよ。
ミュートの効いたベースにええギターの音。途中で3拍子が入って2回目はドラムだけ4拍子になるのとかもうたまりません。古き良きのオマージュっていうより、ただ好きな音楽なんだなと感じます。
ただ西から「シャーさん」というくだりは「赤い彗星か」とか「麻雀かい」などのツッコミを入れることをお勧めします。
2曲目。「春巻」。うって変わって攻撃力のあるレイ・マンザレク的音色のオルガンが印象的な2曲目。
クラップとかパーカッション、コーラスを入れる作業が楽しかっただろうなと作業の見える曲。
いわゆる「メロ」が一つしかなくてサビが来るかと思いきやコーラス入りの間奏やソロになるという、これまた最近ではあまり聴かない構成なんですが、4回目のメロの時にベースが変わるとことが聴きどころです。
ソロ前のバックの右側に振りもんのパーカッションが入るところ。
あろ個人的に「春巻」と「イエス」の掛け声が大好きです。
3曲目。「Yo-Say!」。こちらはちょっぴりソウルミュージックに寄った曲で、ギター、ベースもエフェクティブでシンセ、クラビもなってます。始まりからしておふざけモードが強いので、タイトルはダジャレという可能性が高いのですが、意味は「妖精」っぽいですね。「余生」ではなさそうです。「ちっちゃいおじちゃん」って歌ってはりました。
しかし中国語のカウントや中華っぽいフレーズ、カンフーっぽいセリフの意味がわかりません。世代なのか。
でもやっぱり16のベースがかっこいいです。サム弾きのアップダウンだと思うのですが、ツーフィンガーで弾こうとしてもこんな感じにはならないと思うのです。控えめなクラビとの相性が抜群ですね。
4曲目。「オバケだぞ!!」。こちらもまたシンベ的エフェクトベースにおどろおどろしいビブラフォン、ギターの16刻みとカッティングが印象的なんです。タイトルからしてふざけているのは間違い無いんですが、NHK関係とかなのかな。
違うか。みんなのうたでは無いでしょう。これまた意味がわかりません。しかしながらMCハマー&MJ的曲調からいきなり日本的アプローチのミドルエイトって思ったら「パン、茶、宿直」って合いの手。
これはもう時を持て余した大人たちの遊びでございますね。
5曲目。「くるんでダーリン」。うわっ、ふざけた曲が続いたからなのか真面目な曲が始まったとびっくりしました。
U2的ディレイギターとチェロが印象的なイントロからの真城さんのソロボーカル。この曲は真城さんメインの曲なんでしょう。
「ハモっていたいの、あなたのメロディーを 3度上で支えてあげる」なかなか言える、書ける歌詞じゃないですよ。
真城さんらしい、こちらも真城さんの人となりがわかる曲じゃ無いでしょうか。こちらは80’sアレンジとでも言いましょうか、ギターのコーラスのかかり具合やEBOWなのかな、シンセかわからないのですが、イントロや間奏に鳴ってる持続音が良きアイドル時代っぽくて素敵です。
6曲目。「つらいなぁ」。イントロなしでいきなりの歌い出しが「つらいなぁ」。ビブラフォンをバックにどんだけネガティブやねんと思いきや、バンドが入ったらモータウン的ベースでなんだか応援されていると思うとともに、前の曲の真城さんの「支えてあげる」という言葉が見事にジョンBさんを支えているという事実に繋がっていて、人って支えられながら生きているんだということをこの2曲で感じる幸せと思いきや、うぉ!語り付きやないか。これは怒られるかもしれんけどこの語りは若干気持ち悪かったです。でも最後の歌詞が「言っちゃだめ つらいなぁ」だったので良かったです。
7曲目。「やってくる」。3拍子のどこぞの民謡かのようなフォークソング。「めだかの兄弟」的ソングです。
気がつけばもう7曲目ということで、「北くんと南ちゃん」は5分弱だったのですが、そのほかは3分くらいの曲が多く2分台の曲もこの曲も含め2曲あるため、あっという間の後半戦です。この曲は本当にみんなのうたで採用してもらいたい曲です。マリンバやフルート、バリバリリバーブギターが印象的でお子様に歌ってあげたくなる歌であります。
8曲目。「キャンディ」。こちらはテンプテーションズの「My Girl」的オールディーズな1曲。ニール・セダカとかポール・アンカとかを聴きながら徹夜麻雀してた自分にとっては最高のBGMです。やっぱりサックスが入ってくるとこあたりにグッときます。
こちらにも語りが入っていたのですが、フランス語やったので大丈夫でした。それにしてもバックコーラスの本格派感がさすがだなと思います。
9曲目。「チヨコレイト」。こちらは一度ラジオでもかけたのですが、アルバムで一番好きな曲です。
テンポ100前後のゆったりした4つ打ちに裏拍にアクセントを置いた8分のベース。間奏に入ってくるメロディーをなぞるトランペットも印象的です。真城さんメインの歌なんですが、こちらは男性陣がコーラスで支えておられます。
しかし「燃えよドラゴン」という歌詞の後にまたも「アチョ〜」とか入っているのですが、やっぱお好きな趣味なんでしょうか。
長めのクリーントーンのギターソロがいい感じのままフェードアウト。素敵です。
10曲目。「アスナロ」。アルバム最後を飾るのは軽快なシャッフルソング。この曲は真城さんの「うーあー」コーラスが素敵な一曲です。ちゃんとおっさんの甘酸っぱい歌詞で、「アモーレ」ってタイトルを裏切らずの10曲だったなという印象です。
しかしながら10曲34分のアルバム、いいですね。70分超えのアルバムとか途中から覚えてませんからね。サクッと聴ける一枚でございました。
というわけで、大人のアモーレなアルバムでした。ちょっとふざけた関西ノリが苦手な方は「えっ」と思う瞬間がたまに出てくるかもしれませんが、聴く人誰もが幸せになるようなアルバムだと思います。
そんなアルバムが作れることもメンバー皆さんの人の才能だなと思いつつ、自分たちのアルバム作りも精進して生きたい所存でございます。
ってか20年後くらいに西の細野さんみたいな立ち位置にいてくれはらへんかな。みたいな妄想をしつつ、さようなら。
(マ)
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