マ社長の星屑レビュー☆第10回 The Colour in Anything/James Blake

今回もなんかネタはないやろかいとiTunes Storeを覗いたところ、James Blakeの新譜が出ていたので迷わず購入いたしました。でも本当はCDで欲しいからまた買っちゃうかもしれません。まだ何も聴いてないのに何言ってんだかって話ですが、それくらい最近では珍しく注目すべき音楽家なのではないでしょうか。

さくっと経歴を紹介しますと、ロンドン出身の若干27歳のシンガーソングライターであり、プロデューサー。グラミーにもノミネートされていて、最近ではビヨンセのアルバム曲にボーカルとして参加していたりまあ、超売れっ子な人でございます。まさに現代っ子と言いますか、まずはこのカバーを聴いてみてください。

James Blake - The Sound Of Silence

かのサイモン&ガーファンクルの名曲ですが、なんだか歌の良さはそのままに発売されてから何十年の時間を飛び越えて全く新しい音楽になっていると思いません?ノイズにも意味がしっかりと感じられるってのはすごいなと思います。コード進行、ベースラインなんかも個人的にはハラカミさんを感じたりするんですが、エレクトロニックとフォークががっちり融合していて、本当に新しい音楽だなと感じるのです。というわけで、聴いていきます。

まずは1曲目。ナイスタイミングで公開されていました。

James Blake - Radio Silence

トラックだけを聴いたらほんとエレクトロニカなんですが、歌も含めて音が全部優しいんですよね。シンプルで細かいリズムにシンセが効果的に使われていて、環境音も混ざりなんだか安心します。生ピアノのサンプリング使いも素敵です。今回曲いっぱいなんで1曲づつは書かないですが、9曲目と11曲目も上がってたのでとりあえず載っけときます。

James Blake - My Willing Heart

James Blake - I Need a Forest Fire

そんな間に曲は進んでいるのですが、歌までもサンプリングでシンセ的な音にしてみたり、かといえば美しいコーラスが入ったり、何気ないブレイクにドキッとしたりします。音のチョイスが抜群なんだと思います。基本バックに環境音的なノイズは流れているんですが、それが突然止むことによって世界が変わって、感情が揺さぶられる感じがします。ミックスも普通じゃなくて、あるセクションだけベースが左だけで鳴ったり、声もダブル分やリバーブ成分が右左で綺麗に分かれていたりして、正直、すごいな、いちいち凝っているなと思います。でもやっぱりメロディーと歌声が先ほどのサイモンとガーファンクルさんのように筋が通っているのでブレないです。生ピアノと歌だけの曲なんかで、その表現力の高さがわかります。

なんだかベタ誉めしてますが、現在夜中の2時半で、いい感じに音楽が時間と合っているんです。いい時間に聴けました。声の加工も頻繁なんですが、オートチューンの使い方もシンセ的で、楽器として鳴っています。あと名前がBlakeだからなのかほんとにブレイクにすごい意味があるなと思います。ほんでもって、アルバム半ばに来ても1曲目から世界観が全く変わらなくて、なんなら、アルバム一枚分の曲を聴いているように感じます。音数の多くないオーケストレーションとヒスノイズだけをバックに歌っている曲もあるのですが、どことなくルーファス・ウェインライトを感じたり、ストーリーテラーな感覚も歌から受けます。その歌を歌ってみろよと言われても全くメロディーは覚えられるようなもんじゃないのですが、ずっと語りかけられているような感じがひたすら全曲にあるんです。

ってか、いま気づいたんですが、このアルバム76分もあります。超大作ですね。夜更けにのんびりワインでも飲みながら1時間ちょっとこの音楽に浸るのもいいんじゃないでしょうか。ずっと平熱の中で優しく流れる、怖くないエイフェックス・ツインのような世界に連れて行ってくれることと思います。綺麗な車窓が流れていくような環境でも聴いてみたいなと思う一枚でした。

ぜひお時間とお財布の余力がありましたら、アルバムで聴いてみてくださいな!

(マ)

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