近況と雑感
フジファブリックの20周年記念公演に、くるりはアジカンと一緒にゲスト出演した。
舞台は大阪城ホール。お客さん何人来てたんだろう。勿論京都音博も大舞台だが、これ程多くの人の前で演奏することは最近稀かもしれない。
よく半分冗談で私は「私の器で5.000人以上の前で演奏することは出来ない」と言っているが、フジ山内、アジカン後藤両氏は、名実ともに多くの人々に音楽を伝えてきたフロントマンである。私もマイペースではあるが、この日は演奏する我々にとっては勿論、何よりもたくさん集まったお客さんにとっても特別な公演だろうから、自分のキャパを超えてでも気合の入った演奏を届けないといけない、という想いを持ってステージに立った。
京阪電車で会場入りした私は、少しばかり自分のテンションを調整するのに時間をかけた。演奏には常に集中しているつもりだけど、想いを持った人々が多く集まる場所で、その辺のおっちゃんである普段着の私は、ギアを三段くらい上げなければならない。
山内総一郎は、私にとってとても可愛い後輩であり、一緒にくるりで旅をしたこともある盟友のひとりだ。それまで気の置けない友人のひとりだった志村が去った後、心からその活躍を願った人間でもあった。
万感の笑顔の裏にある様々な矛盾や迷いを消化し、振り切り、バンドのために、ファンのためにここまで頑張ってきた彼を救ったのは、そこにいた沢山のお客さんに違いない。とても素晴らしいオーディエンスに迎え入れられた彼の笑顔を見て、胸にくるものがあった。
アジカンも素晴らしかった。くるりやフジとは違い、同じメンバーで変わらず自分たちの軌跡を振り返らず突き進んできたバンド。今もなお前を向き続ける彼らは、圧巻のステージだった。感動した。
くるりはマイペースに続けるつもりだけど、そろそろ名曲や名盤を作る必要がある、そしてそれをひとりでも多くの人々に届ける必要がある、と強く思った日だった。背中を強く押された。