2023/06/30 BGM: Eels - Grace Kelly Blues
注:今日の日記は「自殺」という危険なトリガーを含んでいるので、精神汚染に気をつけて。
今日は遅番だった。今朝、ぼくが参加しているLINEグループでとある方からこんな新聞記事をシェアされた。ぼくが住んでいる兵庫県が、精神的に追い詰められた人を助ける「ゲートキーパー」を養成しようと乗り出したというのだ。この記事を読んでぼく自身、いろいろなことを考えさせられた。「もしぼく自身が自死まで追い詰められたとしたら」ということを考えたし、あるいは「もしぼくが大事に思っている人が追い詰められたとしたら」といったことも考えた……こんなことがあったのを思い出す。今から10年以上前、ぼくがもっとネガティブな内容の日記を書いた頃、ある方がその日記について彼自身のサイト上でていねいに、実に好意的に紹介して下さった。その時は勇気がなくて直接コンタクトを取ることはできなかったのだけれど、それから時間が経ったある日勇気を出して「mixiを始めたのでぜひ招待状を送らせて下さい」とメールを書いたことがあった。するとその方の妹さんからメールが届いた。その方が自殺を選ばれてすでにもう居ないとの知らせだった。ぼくは呆然としてしまい、そして泣いてしまったことを覚えている。
昨日書いたことともつながるけれど、ぼくが十代の頃日本で鶴見済『完全自殺マニュアル』という本が刊行されたことがある。それは「自殺はOKだ」という過激な意見を主張した本で、ミリオンセラーを記録するベストセラーになった。実はぼくも買い求めて読み漁った人間の1人で、そしてその本に感化されて「自殺はOKだ」「なぜ死にたくなったら死んだらいけないんだ?」と思って十代の生きづらい日々を生きていた。これは奇妙な理屈に聞こえるとも思うのだけど、『完全自殺マニュアル』に書かれていた克明な自殺にまつわる情報を読んで自分の自殺を頭の中でシミュレートしたことで、逆に生きる勇気をもらったようにも思う。死をはっきりイメージすること、自分の人生の終わりを考えたことが「生の有限性」を自覚させられ、この限りある人生を大事に生きようと思わせられた……と書くと実存哲学的でカッコいいだろうか。その後大学に入り、ぼくは友だちと『完全自殺マニュアル』の話をしようとしたりもした。そして「健全に生まれ育った人は自殺なんて考えない」という(明白と言えば明白な)事実を学び、自分の人生の歪み・狂いに思い至ったのだった……。
そんな人生を歩んできたので、ぼくは無碍に「自殺はいけない」「生きろ」と言えない。でも、同時にぼくは「死にたいなら死んでもいい」「自殺はOKだ」とも言えない。ぼくはこれまでネットで何度も「もう死にたい」「もうダメだ」と弱音を吐く人、死を口にする人を見てきた。そして恥ずかしながらぼくだって「もういいじゃないか」「なぜ死んだらいけないのですか」と口にしてネット上で泣き叫んだ人間の1人なのである。でも、ぼくは「きみ」に死んでほしくない。エゴイスティックというか、単にぼくが世間知らずの偽善者、甘っちょろいノンキ坊主だからこんなことを考えてしまうのかもしれない。でも、ぼくは「きみ」が死んだら悲しむ。「きみ」は言うかもしれない。「あなたの人生とわたしの人生に関係はない」「わたしの人生をどう生きようがわたしの勝手だ」と。それはもちろんその通りだ。仮に「きみ」が「イキジゴク」を生きていたとしても、それをぼくが肩代わりできるわけもないのだからやはりぼくは「偽善」を口走っているのかもしれない……「きみ」の言葉からぼくはそんなぼくの甘さを思い知る。「きみ」の鋭さ・賢さはぼくの甘さを見抜いている。
でも……ぼくはそれでも、ぼく自身がこれまでまさにぼく自身の「イキジゴク」を生きてきてそしてここまでたどり着いたその経験を踏まえて……今、自分がつかんだ真実を伝えたい。それは、「人は1人ではない」ということだ。ぼくの命、ぼくの存在はぼくだけのものではない。ぼくはいろいろな人に支えられている。かつてはぼくも孤独に呑んだくれて無気力に生ける屍のように生きていたのだけれど、それでもぼくは今の発達障害を考えるミーティングで出会った人とのつながりや、あるいはDiscordなどでの人間関係を探してあきらめず、腐らずに生き延びてきた。これは「強者の論理」というか「ニブい人間が上から目線で放つお説教」に聞こえると思うのだけれど、それでもぼくは「あきらめたらいけない」と言いたい……でも、これについて書くとなるとスペースが足りない。今、ぼくはいろいろな人がぼくのことを心配し、ぼくのために泣いたり笑ったりして下さっているのを感じる。「バカじゃないの? それはあなたが運が良かったからだ」と、「きみ」は言うだろうか? ぼくはただのアマちゃんでしかないのだろうか? ……ああ、今日はぼくの大好きなロックバンドのイールズについて書きたかったのだけれど、結局書けないまま終わってしまった。