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年末・正月の習慣@福岡県宗像市
そろそろ年越しの準備に取り掛かる季節になってきた。今週は比較的暖かい日が続いているけれども,畑には霜が降り始めているし庭の楓は紅色を見せている。
冬が来た
きつぱりと冬が来た
八つ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒になった
きりきりともみ込むような冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た
冬よ
僕に来い、僕に来い、
僕は冬の力、冬は僕の餌食だ
しみ透れ、つきぬけ
火事を出せ、雪で埋めろ
刃物のやうな冬が来た
(高村光太郎)
いやまあ,火事は困る。うん。やめて。
さて,生粋の宗像土着集団である我が一族は,年越しの習慣もずいぶん古いものがいくつか残っている。面倒に思うこともあるけれど,まあ一年に一度だし,ということで細々と毎年繰り返しているものだ。以下,パラパラと書いてしまう。どうぞ。
しめなわ
ヘッダー写真のしめなわであるが, いちから手作りである。脱穀後の稲藁を使い,鶴の本体を作ったのち,橙・裏白・杠・赤胡椒(当地では唐辛子のことを胡椒と呼ぶ)をセットして玄関に飾る。けっこうでかく作る。
ノウサバ
よその人に伝える時には"玄海かずのこ"と言ったりするが,要は郷土のおせちの一品である。さばと言われるが実はサメの仲間で,開いてワタをとって干物になったものを買ってくる。サメなのでうろこが鮫肌状のざらざらだ。食べるのにそれでは困るので,適当な大きさに切って沸騰した湯にさっとくぐらせると,ポロポロとウロコが落としやすい。それからさらに食べやすい大きさに切って,酒とみりんと醤油で漬け込む。おいしい。
餅搗き
最近は餅つき機でぐわーっと作ってしまって,そこから手作業で丸めたりあんこを包んだりするが,5年ほど前までは庭で臼と杵を使ってぺったんぺったん作っていた。最初のお餅は大きなお鏡餅,次に台所の荒神様に中くらいのお鏡餅を作って神様にお供えする。最近はお鏡餅も市販のものにしたりするが,荒神様はせっかくなのでと作り続けている。これらの鏡餅も,裏白と橙を使って飾り付けをする。
箸作り
正月のおせちや雑煮を食べるために,年末のうちに栗の木の枝を使って箸を作る。菜箸用の長いのと,それぞれ個人用の短いの。
三社参り
元旦の初詣には三つの神社を回る。まず近所の稲元八幡宮。それから世界遺産宗像大社。最後に甘酒の美味しい八所宮。みっつまわってようやく初詣が終わる。
お雑煮
丸餅,すまし汁。出汁は秋のうちにハゼを釣ってきて干したりもするが,簡単にはあご出汁(トビウオ)。具が多くて,ブリの切り身塩焼き・大根薄切り・かつお菜・しいたけ・ぎんなん・かまぼこ・にんじん・イクラなどなど。これを作っておいた栗の箸で食べる。
以上だが,まだ他にも何かあったかもしれない。やはり年中行事には,地方色が出やすくて面白いですね。それでは。