墨色の海の底で 3
学校の屋上は、心地良い。牢獄から抜けられる唯一の場所だと思うから。
「あっ君。ってちょっと待って「離してよ」」
なのにあの男が。
「嫌だよ。君が僕をそんなにも嫌う理由、いや、男を嫌う理由を教えてくれるまでは」
また侵害してくるんだ。
「…別に理由なんてない。嫌いだから嫌いなの」
「そんな訳ないよ」
「もう、いいから離して…‼︎」
私の心からその手を。
「…男の人とかじゃない。あんたが嫌いなの。理由は透かした顔がムカつくから、以上」
屋上から猛ダッシュで教室へ向かった。
まただ。私を見透かすようなあの目が、死ぬほど気持ち悪い。
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