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志望理由は、ネガティブな感情であふれている。

留学に必要な志望理由書が、なかなか書けないでいる。

それは仕事で疲れているから、といえば全てはおさまる。そうだよね、仕方ないね。

でも、それだと私の人生は結局、進まない。

職場では日々、現場にいるだけで神経が削がれていくような感じがしている。それが最近、症状はどんどんひどくなっている。

仕事をさせてもらえるだけでも、感謝をしなければならないのかもしれない。
でも今は、それができそうにない。

恥ずかしい話なのだが、それとは真逆で「やらされ感」が、拭えない。与えられた仕事に、意義を見出せない。私がその仕事を進めていくことを当然に捉える上司からの何気ない指示がいちいち、怒りの真髄まで響いて涙が出てくるーーそしてそんな被害妄想を抱く自分が、情けない。
何が正しいのかは、わからない。でもこうやって今の心境を書きだしてみると、私のメンタルは結構ヤバいところまで来ているのではないか。

来年、仕事を辞めて渡仏しようと決めたのは私の意思によるものに変わりはないけれど、今の職場環境の影響も、少なくない。いつ、辞めると打ち明けよう。もやもやしていたこの夏の終わりに、さらに新しい仕事を命じられた。仕事を辞めることを告げるタイミングを失った。この状態だと、まだ30日くらい貯まっている有給休暇も、消化できそうにない。せめて年度切替えとなる来年の3月までは仮面をかぶって頑張ろうと思ったけれど、なんでこんなにあくせくしなければならないのだろう。私のもやもやは、行き場がなく心の中に溜まっていくばかりだ。

そもそも、今までだって毎日のように「削がれる」思いをしながら、どうしてこの職場で働くこと以外をしっかり考えてこなかったのだろう。
「仕事は楽しい」と思えるように頑張ってきたつもりだけれど、やっぱりどうやら、そうでもないのかもしれない。
そう考えると、今までの頑張りは一体、何だったのだろう。



思い返してみれば、私はいつも遠くばかりを見ている。物事を難しくとらえすぎて、逆に簡単なことができなかったり、小さな幸せを感じ取れない傾向がある。

20代になって、時が経ち、「アラサー」と呼ばれる世代に入った時のことを思い出した。

その時も、当時置かれた場所とは全く異なる環境、いわば手に届きそうもない「憧れ」のようなものを求めていた。面白いことに、憧れの対象はフランスであることだけは、昔も今も変わらない。
おまけにその時は唯一のとりえだった「若さ」にしがみついていて、「30歳」になるのが嫌だった。辛かったな。

でも結局は根が小心者だから、もしも仕事を辞めるとしたら、語学留学やワーキングホリデー、結婚などではなく、フランスでしっかり生活を続けられるための担保が必要で、その時に至った結論は、(やはり、)「MBAをとって海外で働くこと」だった。

その時も行動だけは早くて、まず渋谷の留学準備校に足を運び、その後、確かナントとランスにあるビジネススクールを訪問し、MBAプログラムの話を聞いた。しかしいずれの学校やその土地にもピンとくるものはなく、応対してくれた担当者からのオファーを断った。フランスの地方都市での通学や生活にも資金が足りない状態だったし、当時は残業が常だったから入学のための勉強だって思うようにいかなかった。なんて、何かと言い訳はつくものの、現状を別の方法で打破しようという努力もせず、夢は結局、時間と共に風化してしまった。
ランス訪問時にいつか記念日に飲もうと購入したヴーヴ・クリコは、何を祝うでもなくコロナ禍中に消費した。

ひねくれたこのアラサーは結局、井の中から飛び出す勇気はなく、不完全燃焼のエネルギーは時代と共に酸化していった。
その錆びたエネルギーはどう処理したかというと、仕事でも人でもなく、語学や趣味の世界にまわすことで、だましだまし生き延びる。
ひねくれ女はとっくに30歳を迎え、現状から目を覆っている間にアラサーからアラフォーとなり、その後コロナだなんだ言っているうちに、あっというまに40歳。なんて寂しい半生なんだ。

20代の頃よりはずいぶん柔軟になって、「とりあえず辞めて海外に行く」と心軽やかに決めたはずなのに、今また、いろいろと小難しく考えてはがんじがらめの状態に陥っているぞ。


そうだ。
志望理由という名でいくらストーリーを美化しようとしたところで、私の人生は所詮、こんなものである。
こんな狭い視野しか持てない私は来年、どこで、何をしているのだろう。

結局、大学院なんて所詮夢のまた夢に終わり、49歳頃になってまた「私の人生、こんなはずではない」なんて嘆くのは……あぁ、それだけは嫌だな。今、ちゃんと現実に向き合わないといけない。

なんとか採用担当の気を引こうとあの手この手で書いては消して、を繰り返している志望動機の裏には、こんなネガティブな感情が満載だ。

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