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料理をする心―自分で蒔いた種を即座に刈り取るという〈法〉

料理に関する知識や技術ではなく
私が最も大切にしたい
料理をする心について
教えてくださった方のひとりに
佐藤初女さんがいます

佐藤初女さんは
青森で悩みや苦しみを抱えた方たちに
心を尽くした料理を振る舞い
癒しとなる場「森のイスキア」を
開かれていた方です

初女さんから教わったことに


お野菜も痛いと思うので
ピーラーは使わず
包丁でそっと剥くこと

一から十の工程
そのすべてを丁寧に行って
はじめておいしい料理が
できるということ

野菜をゆがくと
茎が透明に透き通る瞬間があり
それは、野菜が私たちに
いのちを捧げてくれた
美しく輝く瞬間であること


など、たくさんあります




先日、カボチャのマフィンを
つくりました

ベーキングパウダーと重曹を
併用するレシピでしたが
重曹がありませんでした

ベーキングパウダーだけのマフィンも
ありますから
大丈夫なのではないかと
焼いてみたところ
見事にマフィンは膨らまず

レモンを効かせたレシピも
酸味が強く感じられてしまい
油っぽくもあり
おいしくできませんでした


“なんとかなるだろう”という
私の驕りは
すぐに膨らまないマフィンという
結果となって
目の前に現れました

そこには
いのちを捧げてくれた
食材たちへの感謝も

レシピをつくった
料理家の方への敬意も
ありませんでした


もとより、この宇宙には
自分で蒔いた種は自分で刈り取る
それも即座に、という
たったひとつの〈法〉が
あるだけなのです

無理を通して道理が引っ込むことは
ありません


「料理」という字は
「理(ことわり)」を「料(はかる)」と
書きます

この理(ことわり)というのは
宇宙を貫くたったひとつの
〈法〉のことではないかと
私は思います





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