実話怪談 ちのつく日
主婦のSさんには、数字にまつわる奇妙な出来事があるらしい。それはSさんの息子に関わるものだそうだ。
当時、Sさんは育児に困っていた。息子がよくケガをしたり、体調を崩しがちだったからだ。ある時は保育園の滑り台から落ちて、頭を何針も縫う事になった。またある時は急に目の周りが大きくはれ上がった。そのような事が何度も起こった。
Sさんは何度も子供を病院に連れて行かなければならなかった。仕事中に、突然保育園から電話が掛かって来る、休日でも突然泣き声が聞こえ、見るとケガをしている。夫とは離婚していたので、全て自分で面倒を見なければならない。
ある日Sさんは、電話で母親と話していた。話題は息子の体調やケガの事だった。
「それって、読んで「ち」のつく日じゃない?」
そう母親に言われた。1(いち)日、11(じゅういち)日、18(じゅうはち)日、……。確認すると、全て「ち」がついていた。
「覚えてないかもしれないけど、Sも昔そうだったんだよ。その日になると、絶対何かが起こって」
その時、どたっと音がした。見ると、息子が倒れていた。急いで電話を切り、駆け寄るとひどい熱があった。そのまま急いで病院に連れていく。インフルエンザだった。薬を貰い、家で眠らせた。しかし一向に熱は下がらなかった。Sさんはカレンダーを見て、気づく。
明日、21日だ……。母親の話が脳裏をよぎった。明日さらに息子の体調が悪化するかもしれない。もしかすると、このまま熱が下がらずに、死んでしまうかもしれない。Sさんは再び母親に電話をかけた。
「1とか8って最後に「ち」がつくでしょ。ちは血と読めるから縁起が悪いの」
「それでどうしたらいいの?」
「家の近くの神社でお祓いしてもらって」
「なるべく「ち」の付く数字は言わないようにしてください。7もしちじゃなくて、ななと読んでください」
お祓いしてくれた神主の方はそう言ったそうだ。
なお、お祓いの後息子の熱は下がったらしい。そしてその後、病院に連れていく回数も減ったそうだ。